平成24年度 障がい者生活支援センター部会に参加しました


2013年2月8日(金)、14:00〜16:45まで、大阪府障がい者自立センター大会議室にて、『平成24年度 大阪身体障がい者地域リハビリテーション協議会 障がい者生活支援センター部会』が行われました。
大阪府各地の事業所や市役所から約40名が参加し、はじめに大阪府福祉部障がい福祉室の職員より、計画相談支援についての制度の概要と取り組みについて報告されました。

その中で、基幹相談支援センターが、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、@相談支援事業、A成年後見制度利用支援、B障害者への必要な情報提供・調査・助言等を総合的に行う施設である事、設置主体は市町村で、相談支援事業所に委託可能である事、人員体制は相談支援専門員・社会福祉士・精神保健福祉士・保健師等を配置する事などが説明(再確認)されました。
既に基幹相談支援センター設置されている自治体もありますが、豊中ではまだ設置されていません。

また、【市町村別相談支援事業従事職員数の状況】や、【対障がい者千人当たり相談支援従事職員数】(いずれも大阪市を除く)が提示されました。
豊中は、平均1.75人に対して1.41人で、平均をやや下回っている状況です(以下に配布資料を画像で掲載)。

次に、相談支援従事者研修について、今後、仕組みが変わるという報告がありました。
即ち、現在は大阪府が直接養成・指導していますが、これからは大阪府指定の研修機関を設け、そこが各事業所に研修を行うという事です。


さて、ここからは、泉佐野市にある『障害者自立支援センターホライズン』センター長の藤川裕さんより、<計画相談支援の取り組みについての現状と課題>と題した講演がなされました。
以下、要約です。

障害者生活支援センターホライズンは、泉佐野市のほか、隣接する熊取町、田尻町(以下、1市2町と称す)からも委託を受けて、相談支援事業をおこなっています。

この1市2町でサービス支給が決定している人は計907人で、相談支援専門員は、4つある事業所で合わせて7人となっています(2013年1月20日現在、以下のデータも同じ)。
そしてサービス支給決定者のうち、計画相談支援の対象者(サービス等利用計画作成の対象者)は85人で、計画作成・モニタリング実績件数が268件なのですが、これを7人の相談支援専門員で受け持つ計算となるので、1人あたり相当忙しい状況になっています。

 
藤川裕さん

従来、各相談支援事業所がおこなってきた基本相談(一般相談業務)では、相談スタッフは、利用者(依頼者)の気持ちに耳を傾け、信頼関係を作って、どう支援をしていくのか考えていきましたが、そのようなプロセスが、計画相談支援では評価されません。

サービス等利用計画(以下、利用計画と称す)案を作って支給決定が下り、本番の利用計画を提出して、初めて報酬を得る事となります。
この部分に関しては、正直、抵抗を覚える部分もありますが、やはり利用計画を作ることで、障害者がサービスを利用する前提が出来るので、頑張って作っていくしかありません。

計画相談支援を行うにあたり、一番大切にしている事は、本人支援計画です。
つまり、本人のストレングス(強味)に着目し、目標を定めて現状を分析し、そこからニーズアセスメントをしていくという事です。
それを行わないと、介護保険のケアプランとの違いが分からなくなってしまうので、基本相談で大切にしてきた事は、こういう形で計画相談に反映させていければいいのではないか?と、1市2町の行政担当者も含めて考えています。

利用計画作成の作業は、1市2町で構成される【自立支援協議会ケアマネジメント推進部会】を中心として、おこなっています。
おこなうにあたり、研修も何度か実施したのですが、そこで課題として出てきたのが、『本人のニーズか、介護者のニーズか、家族のニーズか区別するのが難しい』、『自分の将来像をなかなか描けない対象者はどうするのか?→支援者が一緒になって寄り添い、将来像を引き出していく。これも支援者の役割』といった事です。

別の日に行われた研修では、利用計画作成の対象者の選定基準について、行政の担当者も来てもらって話を聞きました。
1市2町では、基本的に新規の方が優先なのですが、自治体によっては、施設入所の方が優先という所もあれば、単身世帯者が優先という所もありました。

 
会場全景。

また、複数の入所施設がある自治体の場合、施設入所者に対する利用計画作成は誰が担当するのか?という課題も浮上しました。
入所者はそれぞれ、色々な地域の出身なので、出身地域の相談支援専門員が担当するとなると、施設まで足を運ぶのに何時間も掛かるという事になりかねません。

では、施設所在地にある事業所の人が担当すれば良いかも知れませんが、その場合も、担当者は膨大な数の対象者を抱える事になるので、事業所によっては依頼が来ても断るケースがあり、実際、ホライズンもその例に当てはまるという事です。

ただ、ホライズンについては、出身が1市2町で他地域の施設に入所している人の内、施設の所在地が比較的近場の場合に限って、担当対象としているとの事でした。


最後に、今後への課題としては、やはりマンパワーの不足が一番大きいです。
1市2町は、障害者1000人当たりの相談支援従事職員数が1.25人で、大阪市を除いた府全体の平均数1.75よりも少ないです。
先ほど、大阪府の人からも、マンパワー不足解消へ向けての国の取り組みというのが報告されていましたが、『一事業所の規模の拡大』とか、『非常勤スタッフの活用』とか、てんで現実離れした策を、国は打ち出しているなぁと感じました。
相談支援専門員の難しい仕事を、果たして非常勤の人に任せられるのか、大いに疑問ですね。

また、就学前の児童に対する利用計画作成に関して、発達障害などの場合、自分の子どもに障害がある事を受容出来ていない親に対して、「通園施設に行くから計画を作らないといけない」と、相談支援専門員がいきなり話を持っていくのは、信頼関係上、良いとは言えません。
その場合は、その子どもや親の事を、日頃よりよく理解している保健師とのつながりが大事で、保健師との役割分担も必要だろうと思います。


この後は、4つのグループに分かれてグループワークが行われましたが、各グループとも、現業に対して抱えている大きな悩みは、書類作成に於ける業務量の多さ他業務との兼務による過度の忙しさ、そして人員不足でした。

私(根箭)のいたグループでは、「元々ヘルパー体制が確立していて信頼関係も続いていた中、いきなり相談支援専門員が割り込んでいって、『すみません、計画書作るんで』と切り出すのは大変難しい。制度に基づいた行動である以上、本当の意味での『本人の要望に特化した行動』とは言えず、いきなり現れた支援員に、利用者が『どうなってるの?』となる場合だってある」という話が先ず出てきました。

後から新しい制度が始まり、それに合わせてまた一から書類諸々を作成しないといけない、そんな現場ならではの気苦労ですよね。
聞いた全員が共感していました。
そして、「もう中身は充分解っているのに、改めて新しい書式に欄分けしないといけないので、枠探しに苦労する(知っている情報が、どの枠に該当するのか逆に分からない)」といった話や、「書類作成のための書類作成になっているみたいで、これではロスタイム。緊急のケースの場合、このやり方では間に合わないのでは?」という懸念の声も聞かれました。


最後に、やはり現状の利用計画作成の制度は、批評の矢面に立たされる面が多々あるというのがハッキリしました
この部分で、他の参加者と思いを共有出来たのは、大変良かったと思います。
利用者・援助者・事業所・・・・・、それぞれの現場への配慮に欠いた、手続き重視のやり方では、遠からず限界の声が聞こえてくるでしょう。
少しでも【人対人】という、個々柔軟な支援計画を立てていきたいと願う現場に対して、段階的な書類の提出を重視し、問題があれば、見た目で判る変化を付けましょうという様な国のやり方は、藤川さんの講演にもありましたが、現実離れしています。

この先、私や当事業所自体も、マンパワー不足と、それによる労務衛生面での影響が出てくる事は必至です。
事業所・市・府それぞれが、国に対して認識改正を求めるべきなのかも知れません。



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