広報誌『CIL豊中通信』Vol.14


も く じ

1. 特集:日本ライトハウスを取材
2. CIL豊中2005年度通常総会報告
3. ガイドヘルパー養成講座(全身性課程)修了しました!
4. 第4回調理講習会報告
5. バリアフリーマップ作成等事業を終えて
6. 点字体験
7. 障害者自立支援法を考える
8. バリアフリーな旅行(無重力の世界へ)
9. ぼくの日曜日
10. 第21回DPI日本会議全国集会in福岡の参加報告
11. 地域の作業所の活動を紹介します −ゆうかりの家−
12. カジ論!? part.2
13. 学生無年金障害者訴訟4周年記念のつどいに参加
14. こんな制度もありました〜生活福祉資金制度について〜
15. 遠くなくても行きたい −最終回:箕面の滝−
16. CIL豊中近況
17. サービスのご案内
18. 投稿作品・お詫びとお知らせ
19. 編集後記
広報誌編集部
事務局
事務局
事務局
上田哲郎
事務局
事務局
広報誌編集部
海帰優人
上田哲郎
広報誌編集部
カジ
広報誌編集部
事務局
西九条舞
事務局
事務局
北摂の兄貴/岩国久美子
ま〜たれ

印刷版の表紙



1. 特集:日本ライトハウスを取材

広報誌編集部

 みなさんは、視覚障害者の自立支援センターともいうべき『日本ライトハウス』というのをご存知でしょうか。今回はこの日本ライトハウスを取材しました。しかし、一口に日本ライトハウスと言ってもさまざまな部門や事業活動があります。

1.日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター

 放出の駅より徒歩11〜2分の住宅街の中にあります。当日は相談室の武田さまよりお話を伺いました。
 日本ライトハウス法人は二つの大きな部門に分かれていて、リハビリテーション部門と情報提供部門に分かれています。情報提供部門とは点字の出版や点字図書館の運営で、点字だけでなく、様々な媒体について視覚障害者の情報発信はこちらでしています。
 リハビリテーション部門の施設としては3カ所です。放出の視覚障害者リハビリテーションセンター、千早に在る盲導犬の訓練所、放出駅南側にある盲人ホームです。盲人ホームというのは利用施設で、あんま・針灸の資格有持者が地域の患者さんを治療し治療費の二割をホームの利用料として納めて頂きます。数年の間に技術的な事を身につけてもらったり、お金を貯めて頂き、次の就職や自分の経営に生かしてもらう、見た目には治療院です。視覚障害リハビリテーションセンターには三つの施設があり、視覚障害者更生施設(入所・通所)の職業・生活訓練センターとジョイフルセンター、身体障害者通所授産施設:デイワークセンターがあります。これらすべてをひっくるめて、日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンターというのです。それぞれの特徴を説明します。


<職業生活訓練センター>

 どちらかというと訓練中心のプログラムです。月曜日一時間目はパソコン、二時間目は点字といった具合です。訓練ばっかりやっているのかというとそうでもなくて行事やクラブ活動もあります。
<ジョイフルセンター>ゆったりとしたペースで、勿論週に2,3時間は歩行や点字の練習ですが、その他はレクリエーションワークやグループワークに時間をさいています。利用者さんの中には病院から直接来られる方や自宅に引きこもっておられた方もたくさんおられます。陶芸や籐細工などの創作活動を通して、わくわくした気持ちを体験してもらったり、リラクゼーションを目的にストレッチ体操をしたり、音楽を聴きながら体を動かしたり、みんなで前の公園をウォーキング、職員と散歩しながら季節の移ろいを肌で感じたり。例えば朗読の時間にボランティアさんに本を読んでもらい、それについてディスカッションしたりビデオを見たり、金曜の午後には喫茶ルームを開き色々な人に来てもらっています。人との出会いって大切で、出会いを通しそれぞれの価値観に触れながら自分自身の大切さに気付いてもらい、前向きな思いを取り戻していくことにも。もともとは重度身体障害者更生援護施設という種類の施設だったんですが、支援費になり、ジョイフルセンターは視覚障害更生施設になったのです。以前は、目だけが悪い人は職業・生活訓練生活センターに、ジョイフルセンターに行く人は重複の障害や慢性疾患を抱えている人たちでしたが、うちのシステムを変え、サービスの中身で分けましょう・・・という事になったのです。しかし、実際利用になられる方々がどうしてもご高齢や難病であるという事になれば、訓練のコースを選ぶ方は少ないようで、今でもやはり重度の方が多いですね。いずれにしてもサービスを受ける人のニーズに合った所に行くのがいいと思います。

<デイワークセンター>

 通常の授産施設、認可の作業所ということになります。仕事内容はプレスなどの専門的な機械を使って鉄板を打ち抜いたり、様々な金属加工をしたり、内職程度の紙折りやちょっとした袋詰めなど。他の授産施設と違うのは、金属加工は比較的付加価値の高い仕事なので工賃が高めだという事です。
 そのほかに、職業訓練部というのがありまして、大阪の障害者職業能力開発校という障害者の方の職業技能の訓練をしている学校があるのですが、視覚障害者の方について訓練の委託を受けています。4つのコースがあります。何れもパソコンを使っての職業能力訓練で就職を目指すというものです。基本的には、職業生活訓練センターやジョイフルセンターのプログラムを受けてからという方がほとんどです。

・入所・通所の手順は?
 まずは、来所相談。電話で面接日時を約束し、こちらに来て頂いて本人さんが本当に何に困っているのか、どういう状況なのかを聞かせてもらいます。全国から相談はありますが、やはり電話では本人さんのニーズが分かりにくいので、原則として来所をお願いしています。そしてこちらのサービスでどんなお手伝いが出来るのかというのを提示させてもらい、その上で、ご本人がこちらを利用したいという事であれば手続きに入ります。制度として施設訓練等支援費が使えます。利用期間は、もちろん有期限ですが、ひとりひとり課題が異なりますので、一定ではありません。特に全ての利用者さんに言える事ですが、最初にここに入った日からここを出る為のプログラムが始まるのです。この事を常に皆に言っています。出来るだけの事はやります。だから家庭や地域に帰る為の練習をしていきましょうよと・・・。
どれも目標とするのはその人らしい自立であり、社会参加!
 そのあり方は個々に違う。まずは、自分らしい自立を見つけることが大切!!
 皆さんは視覚障害のリハビリテーションというと、どういう事をイメージされますか?歩く事が出来ないなら、白い杖を使って歩く練習をしようとか、字の読み書きが出来ないなら点字、或いはパソコンを使って読み書きの練習をするとか。目が不自由になって料理がしにくくなったから料理の練習をしようとか、そういうのもリハビリテーションの一部ですがそれだけではないのです。私が今、担当しているのは相談室という所で外部相談の窓口なんです。3つのセンターどこにも所属していなくて、視覚障害リハビリテーションセンター全体の中で独立したもの。相談に来られる方の多くは、中途障害の方です。中途で目がご不自由になられた方々の多くが、非常にパワーレスでもう明日何をしていいか分からない、生きる気力が出ないという状態。そういうパワーレスな人達に生きる力をもう一度膨らましてもらう。これがエンパワメントという考え方です。私達はエンパワメントのアプローチをしていこうという事で、ハイキング・運動会・ボウリング大会などのレクレーションワークや、年に1回市民のみなさんに来て頂いて知ってもらうため行うライトハウス祭りの出し物をみんなで一緒に考えていくというグループワーク等を通し、物を作り上げる喜びを感じたり、やりがいを見いだしたり、生きがいを感じたり、自分と少し違う価値観に出会えば自分の大切さを認識していく。そういう中で最初はパワーレスで気持ちがしぼんでいた人も少しずつ元気になる。元気になってくると、今度は自分の出来ない事、例えば歩けない・字が読めないという事にもう一度向き合ってチャレンジしようという前向きな思いにつながるのです。相談時に気をつけている事はあんまり視覚障害という事だけにとらわれない。そこにフィルターをかけてしまうと、実は相談の一番大事な所、家族関係やその人が本当に困っていることや社会参加を阻まれていることが分かりにくくなる。例えば、糖尿病で目が悪くなった方が目が不自由になったから自立できないのなら、白い杖をついて歩けるようになったら自立が出来るということになるのか?。その人が一日中ポテトチップの袋を抱えてるのだとしたら、まずは自分の病気や健康管理のことに気付いてもらう事が大事でしょう。誰もが視覚障害である前に生活者です。たまたま目がご不自由な方という風に考えます。ただなかなか本当の課題に気づいてもらえない。対人援助の立場の原則でいうと人は人が変えられない。人は自分が変わろうと思って初めて変われるのです。そこにどう気づいてもらえるかです。その一つとしてピアカンの講座も紹介していますが、いろいろなコミュニケーションの場をきっかけにして自分自身に気づいてもらいたい。気づいてくれる事を信じて働きかけ続けるしかないですよね。



2.盲人情報文化センター

 視覚障害者の情報提供部門の拠点で、取材は7階に案内されてから順番に階に下る形でさせていただきました。

 まず7階は録音図書製作のフロアーです。ここでカセットテープによるテープ図書やデイジー図書といった音訳図書が作られています。デイジー図書とはCD状態の図書のことです。普通のCDとは違う別のソフトとして作られていて、一度に50時間近く録音できるという優れものです。目の見える人が読書をするのと同じあるいは、それに近い感覚で本を聞くことができるという夢のような読書機です。例えば、しおりをはさんだとしたらそのしおりの所にポンと飛ぶことができるし、後のほうから前のほうに一瞬で戻ることも出来ます。

スタジオで録音するボランティア。
常に聞き取りやすい声を出すよう、心がけています。

 スタジオは全部で8つあります。ここで録音ボランティアさんがペアを組んで、スタジオの中で読む人と外で原本を見ながら機械を操作する人に分かれて校正も兼ねてやっています。この他に独立した小さいスタジオが3つあり、ここでは雑誌などを読んでもらっています。基本的にスタジオは足りませんので、家庭録音のボランティアさんを増やすようにしています。
 録音に際しては、声を出すということ自体大変だということです。そして聴く側の人に内容がちゃんと伝わるように内容に関して調べたり、文章の切れ目とか読み方を考えたり、漢字も音だけで聴いていたら分からなかったりしますので適度に補足してみたり、写真があれば写真の説明を入れたりもします。
 講習はまったくの初心者を対象としたものと、それを修了して実際の録音テキストを作るための講習との2段階に分けています。2年位かけて講習を受けてもらって、それから実際に本を作ったり勉強したりして5年から10年くらいかけて一人前のボランティアさんになっていかれます。ここの人はみんな20年くらいの方ばかりで 、スタジオに来て読んでおられる方が100人くらい、家庭でグループを組んで活動しておられる人が200人くらいおられます。録音関係だけで年間のべ7,000人くらいのボランティアさんの、無償の好意で作られています。

 6階は対面リーディングのフロアです。ここでは、利用者さんがこの曜日のこの時間帯にこういう本を読んでほしいという要望があったら、こちらに登録されているボランティアさんと時間調整をしてここに来ていただいて読んでもらっています。金曜日と土曜日は常駐サービスというのをやっていまして、ボランティアさんに待機してもらっています。ですから、利用者が突然出かけてきても対応していただけます。ただ、部屋がふさがっているという場合もありますので、お電話をしていただいた方が無難かと思います。ご希望の曜日と時間帯、それに大体どういった内容の本かというようなことをおっしゃっていただくと調整しやすいということです。対面は、単に本を読むだけでなく、手紙とか年賀状、履歴書などの代筆もおこなっています。
 もう一つ、ここでは拡大写本というサービスもしています。弱視の方が対象なんですが、弱視といってもひとりひとり見え方が違いますので、フォントの大きさもそれぞれの利用者さんと綿密に打ち合わせをして決めています。こういったサービスはまだご存知の方が少ないようなので、覚えてもらえればいいなあと思います。

拡大写本の見本。この本の場合、
元々50頁のものが800頁になったということです。


 4階は電話による図書の貸し出しのフロアです。ここに電話がかかってきて、誰それさんのどんな本が読みたい。点字か、テープか、デイジーかをお聞きして、ここにあるものはボランティアさんに発送作業をしていただいております。在庫がない場合は、コンピューターで検索してよその図書館から取り寄せて貸し出すということもできます。全国の図書館が一つのデータベースになっているという状態ですね。
 ところで、デイジー図書の再生機を貸し出すサービスもやっています。口で説明しただけでは分かりにくいので、機械に触れてもらってデイジー図書を理解してもらえればという思いからです。これは日常生活用具の対象にもなっています。

デイジー図書再生機。最近の物は、
持ち運びもしやすい大きさになってきています。


 3階はエンジョイグッズサロンといって視覚障害者に便利なグッズを展示しています。例えば音声時計や、弱視の方が大根やたまねぎなどを切るための白黒反転まな板などがあります。そのほか、1回押すごとに一定の量しか出ないというしょうゆ入れとか、3種類の大きさに分かれている計量カップ、またカラートークといって、物の上に当てるとその色を音声で言うという機械もあります。ただし、今のところはおおざっぱな色別認識しかできません。

白黒反転まな板。他にも様々な福祉機器がありますので、
ぜひ見に行ってみて下さい。


 2階は点字図書製作室です。1988年にパソコンに切り替えられてから、複数部数の本が作れるようになりました。データがデジタル化されたので、ここで作られたものがほかの図書館でも利用できるし、ほかの図書館で作られたものがこの図書館でも利用できます。それをもっと大規模にしようということで作られたのが『ないーぶネット』というものなのです。視覚障害者の情報機器もいろいろ考えられるようになっていて、普通は紙に打ち出さないと読めないのが、晴眼者が画面を見るのと同じように点字を見ることができる、ピンディスプレイという機械もできています。また、パソコンで作れるようになって、絵も入れられるようになりました。ただ絵を触ってもすぐに理解できる、というものではないですが、絶えず触っているうちに文章の助けになるということもあると思います。

点字図書製作室での校正作業のようす。
多くのボランティアを擁立している一方で、
パソコン化も進んでいます。


 では、最後にパソコンサポートボランティアをご紹介したいと思います。
 パソコンサポートボランティアというのは、音声パソコンを利用している視覚障害者の方に対して、何かパソコンのトラブルがあった時にその方のお宅に出かけていって、解決したりするボランティアです。ある程度パソコンの知識のある方でパソコンができるというのが前提になります。パソコンのなかには、視覚障害者にとって必ずしも必要でない機能もありますので、それをもっとシンプルなものに中身を変えて利用者が使いやすいように作り変えてお届けし、何かあったら家まで出かけていってサポートしております。
(ここまで文責:永田)



3.盲導犬訓練施設

 盲導犬訓練施設は、大阪府で唯一の村である千早赤坂村にあります。ここでは、約20〜40頭の盲導犬が訓練を受けており、ユーザー(盲導犬を使う視覚障害者)に対する指導・サポートも行われています。取材に際しては、所長の日紫喜さんと訓練士の木瀬さんにご協力いただきました。

・盲導犬になるには?

 盲導犬には、どの犬でもなれるのではありません。性格や体の大きさなど犬種ごとの特徴から、ラブラドールまたはゴールデンのレトリバーが適しています。レトリバーは、家よりも人に忠誠心を持ち、主人が変わっても馴染むという性格を持っています。そして、自由奔放にされることにストレスを感じ、主人に仕えたいという意欲が強いのですが、それでも10頭生まれたら、テストに合格して盲導犬になれる犬は3頭ぐらいといいます。常に人と共に生活をする盲導犬は、犬社会よりも寧ろ人間社会の経験を持たなくてはなりません。家庭の生活サイクルに馴染ませて、『家の中では家具をかじったりなどのイタズラをしない』、『人間が食べている物を欲しがらない』『決められた時に、決められた場所でトイレをする』といった経験を、子犬の時から重ねるのです。社会経験や基本的な躾は生後2ヶ月〜12ヶ月(1歳)に行い、それが済んだ時点で初めて、実際に盲導犬に必要な素質を持っているかどうかのテストをします。合格した犬はその後約6ヶ月間、訓練を受けるのですが、そこでは『ユーザーを安全に誘導する』ということを中心にした訓練となり、誘導実習や、一定時間車に乗って呼ばれるまで待機する、ということをやっています。盲導犬は特に『待てる』ことが大切で、周りがどんなに騒々しくても、指示があるまでひたすら待つことが求められます。指示がなければ寝ていても構わないのですが、逆にどんな場所でも寝られることが重要です。6ヶ月の訓練が終わったら初めてユーザーと対面することになり、歩行技術やコミュニケーションの取り方を中心とした、1ヶ月間のユーザーとの共同訓練を実施します。このとき、ユーザーにはライトハウスの宿舎に寝泊まりしてもらい、犬の扱い方について指導をするほか、性格などの犬の特徴なども伝えます。それが終わって、ようやく盲導犬は一人前と認められるのです。なお、盲導犬になれなかった犬は、多くはペットとして飼われます。なかには他の補助犬や麻薬捜査犬、デモンストレーションなどの素質があれば、そういった使役犬として活躍する犬もいます。

訓練を受ける盲導犬たち。
これから車に乗り込むため、整列待機をしています。
犬舎のようす。左側の檻は、
一匹でいるほうが落ち着くという犬の
ための物で、全て寄付によって
頂いたということです。


・欠かせない存在「パピーウォーカー」

 パピーウォーカーとは、生後2ヶ月になった犬を12ヶ月まで自宅で預かり、育てる人のことです。生まれてきた犬を盲導犬にまで育てる上では欠かせない存在で、日本語では子犬飼育奉仕者と言います。普通にペットとして可愛がるのではなく、愛情を持って飼育し、人との生活をスムーズに行えるような躾を求めているため、パピーウォーカーには常に忍耐強さが求められます。また月に一度の訪問指導で、各犬の性格に合った躾の仕方ができるようにしています。パピーウォーカーの中には、リタイア犬ボランティア(引退した犬を家族として迎え入れるボランティア)として再登録し、自宅で躾をした子犬を、盲導犬引退後に引き取ることを希望される方もいるそうです。

・訓練活動初期の頃・・・・

 今でこそ盲導犬は珍しくないですが、1970年代初め、日本ライトハウスで盲導犬訓練所が開設した頃の日本は、一般の公共施設に盲導犬が入ることは認められない時代でした。2002年10月に身体障害者補助犬法が施行され、盲動犬を含めた補助犬の入場を、公共施設が断ることは禁止されました。しかしそれまでは、電車の乗り降りの訓練の場合にも、まず関係当局に行って趣旨を説明をし、何度か掛け合った末、ようやく許可を得るという状態でした。一度テストに合格して訓練犬になっても、日々の訓練は、実際に活動するような環境で重ねなくてはなりません。その点で開設初期の頃は、まだまだ世間の風当たりも強く、苦労をしたといいます。

・嗅覚はあまり使わない?!

 ふつう、犬は視覚よりも嗅覚を頼りに判断すると思われていますが、盲導犬の場合は、意外と嗅覚はあまり使わず、視覚によって判断する比重が高いそうです。ただ、犬は色盲なので、例えば信号の色を見分けることは出来ません。それでは、交差点ではどのようにして判断するのかというと、ユーザーの指示です。あくまでも基本はユーザーの指示で行動するように教育をされており、9割以上は指示によって行動します。そして急に目の前に障害物がある時は、人の幅も考慮した安全なルートで歩行するのです。あまり周囲の匂いに気を取られると仕事に集中出来ないというのもあって、敢えて嗅覚は働かせないということです。

一頭ずつ誘導の訓練を受ける盲導犬。
残りの犬は車の中でひたすら待機ですが、
これによって、『命令があるまで待つ』ことを覚えていきます。
誘導訓練のようす。
外部から視覚障害者歩行の体験に来た人が、
アイマスクをしてユーザー役になっていました。


・決して安くない費用

 犬1頭を成犬になるまで育てる費用は、約300〜400万円になります。先ほど述べたように、犬が10頭生まれたとしても、実際盲導犬になれるのは3頭ほどですが、それでも10頭すべてを成犬まで育てるので、全頭分の費用がかかります。また、引退した盲導犬の食費・医療費も全て負担するので、それだけでも、かかる費用は決して安くないものになります。ライトハウスでは常に募金をつのり、多くのボランティアの協力を得て、資金のやり繰りをしています。行政からの補助金も存在せず、財政面では常に厳しい状況です。

・進まない盲導犬普及

 現在、盲導犬の使用を希望している視覚障害者は、全国で約4,000人いると言われています。それに対して盲導犬の数は約980頭で、ほぼ4人に一人にしか行き渡っていません。ライトハウスでは、年間約25頭の新しい盲導犬が誕生しており、全国では年間約100頭誕生しています。しかし、増えた頭数分、ユーザーの数が増えているのかというと、そうではありません。何故なら、犬の寿命は人間よりはるかに短く、盲導犬も大体10年ぐらいで引退となります。従って、引退の時期を迎えた盲導犬のユーザーに対しては代替犬を届けなくてはならず、新しく誕生した盲導犬の半数以上が、その代替犬用に充てられるからです。結果的に、年間普及率はかなり低いというのが現状ですが、それでも、一頭でも多くの盲導犬供給する努力のもと、少しずつその数を増やしてきています。


おわりに

 以上、日本ライトハウスについてお伝え致しました。視覚障害者の社会環境向上のために、実にさまざまな工夫をし、地道な活動を続けていると感じ入りました。これを機に一人でも多くの方が、日本ライトハウスの事業に関心を寄せていただければと思います。最後に、取材にご協力下さった方々に改めてお礼申し上げます。

(ここまで、文責:根箭)

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2. CIL豊中2005年度通常総会報告

事務局


 去る6月5日(日)、豊中市立蛍池公民館にて特定非営利活動法人CIL豊中2005年度通常総会が開催されました。10時10分に開会宣言、徳山理事長による開会挨拶の後、徳山理事長を議長として審議が始まりました。
 出席者から、事業報告について、障害者外出支援サービスの日曜と火曜の運休について質問がありました。これに対して、2005年度から豊中市の規定が変わり年末年始以外は全て運行になりましたという回答がありました。また、新しく始まった障害者給食サービス個別アセスメントについての質問がありました。
 事業計画について、支援費制度介護派遣時間数の伸びと介護保険の累積赤字についての質問がありました。これに対して、派遣時間数は最近の時間数を勘案して算出しています。介護保険単独では赤字になっていますが、支援費制度と一体的に見ると黒字になっていますので財務的には大丈夫ですと回答がありました。また、障害者外出支援サービスの利用回数制限についての質問がありました。これに対して、豊中市障害者タクシーチケットの廃止にともない、チケット利用対象者がそのまま、障害者外出支援サービスの利用対象者になりました。豊中市は、チケットが月2回分であった事と、利用対象者の大幅増から、月2回までの利用にしました。豊中市は、運行状況の様子を見て将来的に再検討もあると言っています。利用者からも声を上げてくださいと回答がありました。また、電話・メールの連絡及び対応についての質問や要望がありました。
 役員選任について、女性役員の必要性についての質問がありました。これに対して、人選も含めて将来に向けての検討課題ですと回答がありました。
 以上のような質疑を経て議案は全て原案どおり承認可決され、12時20分に閉会しました。

議事
 第1号議案 2004年度事業報告及び決算の件
 第2号議案 役員選任の件
報告事項
 2005年度事業計画及び収支予算

《2004年度事業報告及び決算》

 措置制度から支援費制度に移行して2年目であったが、当法人の介護サービスに対するニーズは高く、人材の確保を図りサービスに努めてきた。
 豊中市障害者生活支援事業では、支援費制度の利用援助、初の知的障害者対象自立生活プログラム講座、障害者自立支援法の内容や問題の情報提供等を行った。
 豊中市障害者外出支援サービス、点字名刺は、引き続き多くの利用があった。
 イベントとしては、恒例のクリスマスパーティを行い、多くの参加者に楽しんでもらうと共に参加者間の交流も深められた。豊中市の委託事業として2003年12月から始まったバリアフリーマップ作成等事業は、多くの障害者・健常者スタッフが協力して豊中市の駅及び公共施設の調査を行いホームページにまとめて終了した。
 また、11月から、介護保険居宅介護支援サービス及び障害者給食サービスの個別アセスメント(豊中市委託事業)を開始した。

(1)豊中市障害者生活支援事業(豊中市委託事業)
 障害者及びその家族等が地域生活をしていくための相談及び支援
■総相談・支援件数 755件
■市民講座
 ○第1回講座 「知的障害を持つ人に配慮したバリアフリーデザイン」
 ○第2回講座 「どうなる障害者の生活〜障害者自立支援法って何?!〜」
■自立生活プログラム講座
 ○第1回講座 「自分のパンを作って食べよう!食べてもらおう!」
 ○第2回講座 「自立の生活を考えよう〜マイライフプランをつくろう〜」
■他講座等
 ○ピアカン集中講座(共催)○点字講座○おしゃれ講座○パンサークル 等
■自立生活体験室 宿泊利用23回(総宿泊数30泊)、デイ利用3回
■広報誌、ホームページ等にて情報提供
 ○広報誌「CIL豊中通信」4回 ○冊子「支援費制度」配布
(2)障害者給食サービス個別アセスメント(豊中市委託事業)
 障害者給食サービスの個別アセスメント 実施数14件
(3)支援費制度居宅介護
 支援費制度による居宅介護 派遣時間85,122時間
(4)介護保険訪問介護
 介護保険による訪問介護 派遣時間3,780時間
(5)介護保険居宅介護支援
 ケアマネジャーによるケアプランの作成等 担当利用者数6人
(6)介助サービス
 自立生活支援を目的とした登録制市民互助活動 派遣時間1,348時間
(7)豊中市障害者外出支援サービス事業(豊中市委託事業)
 車いす対応車を運行し障害者の社会参加を支援 運行回数529回
(8)バリアフリーマップ作成等事業(豊中市委託事業)
(9)イベント企画開催 クリスマスパーティ:参加者164名
(10)ヘルパー養成講座及びヘルパー養成講座実習生受け入れ
■ホームヘルパー及びガイドヘルパー養成講座の開催
 ホームヘルパー3級課程修了者   25名
 ガイドヘルパー全身性課程修了者 104名
 ガイドヘルパー視覚課程修了者   21名
■ヘルパー養成講座実習生受け入れ 延154名
(11)点字名刺の作成販売 作成枚数18,452枚

収支計算書(総括)
2004年4月1日〜2005年3月31日
収入 支出
科目 決算額 科目 決算額
事業収入 280,552,918 事業費 245,534,879
会費収入 158,000 管理費 244,828
補助金等収入 1,501,097 固定資産取得支出 1,204,455
寄付金等収入 239,674 敷金等支出 32,000
雑収入 326,207 税金引当額 12,200,000
敷金等戻り収入 49,000
前期繰越収支差額 14,394,691 支出合計(B) 259,216,162
収入合計(A) 297,221,587 収支差額(A)-(B) 38,005,425


《役員の選任》

理事会推薦による次の6名が選任された(全員再任)。

理事 徳山辰浩(互選により理事長)
理事 大友章三(互選により副理事長)
理事 山口博之
理事 馬淵敦士
理事 吉村史生
監事 坂 龍雄

総会のようす

《2005年度事業計画及び収支予算》

 三年目の支援費制度居宅介護を、身体障害者、知的障害者、児童で、身体介護・家事援助・日常生活支援・移動介護・行動援護を行う。また、障害者自立支援法を中心とした障害者福祉の動向に対して、当事者として声を上げると共に、制度変化に的確に対応をしなければならない。
 介護保険は訪問介護及び居宅介護支援を引き続き行う。
 豊中市障害者生活支援事業、豊中市障害者外出支援サービス事業、豊中市給食サービス個別アセスメントを引き続き豊中市と委託契約を締結して行う。
 また、社会参加・交流事業、人材育成事業、点字名刺事業を行う。人材育成事業としてホームヘルパー・ガイドヘルパー養成講座を行い、人材の育成、確保に努める。本年度予算は約290,000,000円

(文責:徳山)

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3. ガイドヘルパー養成講座(全身性課程)修了しました!

事務局

 去る7月23日、24日、30日に「CIL豊中ガイドヘルパー養成講座(全身性課程)」が行われました。
 今年度最初の養成講座という事もあり、かなりの倍率の中、総勢22名の方が受講されました。
 今回は、ホームヘルパー3級養成講座・ガイドヘルパー養成講座(視覚課程)も同時に開講しており、介護の経験がないという方も多数おられましたが、障害当事者の講師の方や、スタッフの話を真剣に聞かれたり、積極的に質問をされたりと、理解を深めるいい機会となったようです。
 3日目の公共交通機関利用等の介助演習では、川西能勢口へ出かけ、実際の外出を想定した演習として、車いすでのショッピングやレストランでの食事、公共施設の身障者用トイレの見学など行いました。
 3日間という短期集中型の講座でしたが、内容の濃い講座となり、修了生の今後の活躍が期待されます。

 ホームヘルパー3級養成講座は8月末に、ガイドヘルパー養成講座(視覚課程)は8月27日に修了予定です。皆さん暑い中頑張って受講されています。

(文責:澤崎)

車いすで段差を乗り上げる実習 講義中風景

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4. 第4回調理講習会報告

事務局

 今回で4回目となる料理講習会は、6月21日(火)に行われ、蒸し暑い天気を吹き飛ばすような、フレッシュなメンバーが参加して下さいました。新しく登録されたヘルパーさんも多く、交流も兼ねた講習会となりました。また、今回は講習会の企画、準備、開催を女性介護職員が中心になってチームワーク良く行いました。テーマは「冷蔵庫の中の残り物で調理する」というもので、現場では、一瞬ドキッとする想定であります。参加者は家にある食材を二品持ち寄って、それぞれグループに分かれて、知恵を出し合い協力して調理をしていただきました。さすが、夏野菜の定番!!何だかたくさん緑色の物体が、集まりました。皆さん、もうお分かりですか?大小様々な大きさのきゅうりがゴロゴロ・・・。その他、ナスビ、玉葱、人参、大根、しめじ、ごぼう、キャベツ、ミンチ、鶏肉、ベーコン、卵、ツナ缶等。うーん?と皆さん唸りつつも、どんどん料理が出来ていきました。出来た料理はなんと「15種類」にも及び、日頃皆さんがいかに腕をふるって料理をしているかが、よく分かりました。また、介護職員による「もどき料理」の調理もありました。ふわふわした食感の豆腐を使った唐揚げ、こくのある豆腐のビシソワーズ(ポタージュスープ)等も、カロリーも控えめで、苦手食材克服にも応用できると思いました。最後に、出来上がった料理を囲んでまるで立食パーティーのような味見会となりました。調理中も皆さんワイワイ楽しく作ったからでしょうか、どの料理もとても美味しく、暖かい味のする物ばかりでした。普段は思いつかないような調理法や味付けも学べたと思います。暑い夏も、ヘルパーさんの工夫や知恵で、栄養があり、のどごしの良い料理を食べて、バテる事がなく元気に乗り切れたらいいですね。
今後も交流を兼ねた料理講習会を、また開催したいと思います。

(文責:中村)

ハリきっていきまっしょい! 美味に酔いしれた!
豆腐のビシソワーズ(左)と、『もどき料理』(右下)

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5. バリアフリーマップ作成等事業を終えて

上田哲郎

 豊中市の委託事業で行われた、豊中市バリアフリーマップ作成等事業が「駅・公共施設 バリアフリー情報inとよなか」としてこの6月よりようやく豊中市のホームページ上で公開されました。
内容としては、公共施設や豊中市内とその周辺の駅に行き、車いすトイレやエレベーターなどの有無を調査し記録に残しました。その記録したものをパソコンにてデータベース化を行い、インターネット上にホームページを立ち上げ観覧できるよう作成する事が目的でした。
 ゼロからのスタートでしたので、どういった施設を対象とするのか、その施設の何を調査するのか、調査の段取りはどうしていけば良いのかなど、事業開始までの準備段階が一苦労でした。実際に事業が始まったものの、調査を依頼した施設の中には、断るところもあり、何度か話し合った結果、ようやく許可を得たところもありました。また、快く引き受けて下さり、お茶まで出してくれた施設もありました。
 この事業は、「緊急地域雇用創出特別交付金(基金)事業」を活用した為に、調査員の皆さんの雇用期間が6ヶ月間ということもあり、調査員同志が集団として形成されてきた時点で期間が過ぎ、達成感に欠けるものになってしまいました。調査員の皆さんの意識を保たせつつ、調査自体をしていくことも大変でした。
 しかし、バリアチーム総勢20名との出会い、120施設の職員さんとの出会い、バリアフルな街の再認識、市役所との繋がり、というようなプラスになるものもたくさんありました。
 今回、この調査に関わり、上記で述べたようなことを学ぶ事で、集団を動かして行くことも経験でき、個人的には充実した1年半であったと思います。
 今回の調査を一緒に行った調査員の皆さん、調査を支えてくれた支援員の皆さん、短期間で無理難題をお願いした技術主任さん、ありがとうございました。
 バリアチームの皆さんの努力はもちろんのこと、熱い思いや強い気持ちがあったからこそ、この「駅・公共施設バリアフリー情報inとよなか」ができたと思います。

マップ完成を記念して、CIL豊中事務所で行われた
記念パーティー。1〜3期生が一同に会しました。

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6. 点字体験

事務局

 事務所と隣接している蛍池公民館から、催しの一つとして、子ども達を対象にした「点字体験」を開催してほしいとの依頼があり、6月25日、当センターの視覚障害者ピア・カウンセラーが講師として伺いました。
 子ども達に点字を知ってもらういい機会になればいいなと楽しみな反面、今の小学生が、学校で点字を習っているのか分からないので、興味を持ってくれるかな?簡単すぎると言われるのかな?と少し緊張して子ども達の前にたちました。
 参加者は、色々な小学校から集まった4〜6年生の男女23名でした。
 講師の「点字って知ってる?」の問いかけに、「知ってる!」ととっても元気な声で、返事が返ってきて講座が始まりました。いくつか質問をする中で、街や駅で点字を見たことがあるけど、実際には打ったことがないという声が多かったようです。点字を打つ用具の説明や簡単なルールを習うと、子ども達は早速点字を打ちだしました。点字は点筆で打ちます。子ども達は、「思ったより点字を打つというのに力がいるんだ」と、始めは驚いたようでしたが、夢中で打つうちに、点筆の持ち方にもすぐ慣れ、次々に点字の一覧表を見ながら挑戦していました。
「あ」〜「ん」までの、字が打てるようになると、今度は名刺大の紙に、自分の名前を書き、そこに点字を打って名刺作りをしました。できると、講師である視覚障害者ピア・カウンセラーに読んでもらい、合ってるかどうか確認し、自分が打った字が、本当に読めていることにとっても嬉しそうでした。自分の名刺ができると、友だちの分や家族の分も次々に作っていました。
 最後の質問コーナーでは、こんな質問がでました。
「点字を作ったのは誰?」
答え:フランスのルイ・ブレイユさん。
    日本式にしたのが、石川倉次さん。
これからも、たくさんの子ども達が楽しみながら点字に触れる機会をつくれたらいいなと思います。点字に興味を持たれた方、事務所には、点字を打つ用具や名刺用点字プリンターもありますので、見に来てください。

(文責:潮ア)

講師にチェックしてもらう子どもたちです。

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7. 障害者自立支援法を考える

事務局

 '03年度より、障害者が地域で生活していくため、ホームヘルプやガイドヘルプなどが、利用者の思いで使える、支援費支給制度が始まりました。
 この制度は国税によって行われていて、利用者が増えると使う税金も増えるのは当然です。
 それだけ障害をもった人たちやその家族達が待っていたといえるでしょう。
 制度がはじまって1年目には、多大な赤字が出ました。でも、厚生労働省(厚労省)の中で使っていない予算をかき集めてその赤字を補填することができました。2年目になると、利用者はますます増え、予算を出している財務省から「何とか抑制をしなさい。でないと次の年度には予算が出せない。」と言われたそうです。
 厚労省は、身体障害、知的障害、精神障害を一体になった制度をつくりたいと考え、昨年10月12日に行われた厚労省の障害者部会で、今後の障害保健福祉施策について『改革のグランドデザイン案』が示され、2月10日には国会に『障害者自立支援法案』として上程されました。

◎この法案ってどんなもの? よく考えると大変だ!

 この法案において考えられた、具体的な仕組みとして、「各サービス共通の尺度と市町村認定審査会の設置」、「応益負担の導入」などが出されてきています。一つ一つの具体的な施策について見ていくと、私たち障害当事者や、支援を担う者にとっても、市町村にとっても、非常に不十分な点が多く、到底容認できないものです。
 この法案が施行されることで、長年積み上げてきた障害者の自立と社会参加の理念を覆し、障害者の生活を根本から脅かすことが危惧されています。
 厚労省は、このような大改悪にもかかわらず、障害当事者やその家族など、そして市町村などと充分な説明と議論もせずに、法案提出を強行し、急いで推し進めようとしています。このままでは、多くの面でサービスの切り下げとなり、負担や責任を利用者と市町村に押しつけることとなります。現在、示されているスケジュールでは、市町村に大きな混乱をもたらし、ひいては利用者の生活を揺るがす結果となります。
 私たちはこの間、国に対して、生活につながる法案を、厚労省のキャリアと呼ばれる人たちが机の上だけで考え、進めようとする危険性を訴えてきました。

◎一割負担はしょうがない!(尾辻厚生労働大臣)

 この法案が国会に挙げられた時、尾辻厚生労働大臣は記者会見で、「このまま制度を続けていくと、お金がなくなってしまう。だから、しょうがないからサービスをつかう障害者にも負担して貰う。」といって、障害者やその家族、関係者からバッシングをあびたのです。
この法案は、サービス利用費の負担を払うことだけではなく、グループホームを重度用と軽度用に分け、当事者の居住権を逸脱するようなことも考えていたようです。ただこれに関しては、関係団体と話し合う中で今とそう変わらない状態で生活できる形になっていると聞いています。

◎市町村がどこまで、できますか?地域格差がより広がりますよ。

 障害者自立支援法の考え方のなかでは、市町村の役割も大きく謳われています。
 小泉首相は、「地方の力を付けるとか、国に変わって地方でできることは、できるだけやって貰おう。(地方分権、三位一体化の考え方)」といっています。障害者自立支援法のなかでは、市町村が障害認定の物差しを持ち、サービスの利用を考える「認定審査会 」を作り、そこで使えるサービスの形や利用量が決められます。以前はこの審査会には、公平に運営させるために、学識経験者を中心とした構成にするようにといわれていたのですが、これも障害者団体との話し合いの結果、「構成メンバーに関しては、市町村にまかせる。障害者がメンバーに入っても構わない。」という考え方を引き出すことができました。
 また、私たちが心配しているのは、ガイドヘルプの運用が市町村に委ねられたことです。今は、国が予算の半分をだし、都道府県が1/4、市町村が1/4になっていて、市町村の考え方や予算規模によってガイドヘルプをよくやっている都市とそうでない都市があり、格差も起こっているのです。でも、国の予算があるから、運用ができている都市もあります。
 障害者自立支援法によって、ガイドヘルプのサービスがなくなるところも出てくるかもわかりません。そうなれば、せっかく外出する楽しみができたり、社会参加が現実のものとなってきたのに、また、以前に戻ってしまい親とでないと、でかけられなかったり、それが難しくなれば、地域ではなく施設で暮らす人もでてくるだろうし、施設から地域へ出て、生活を作る人も少なくなってくると思うのです。
 厚労省は、「施設から地域へ」とか「地域移行を進める」といっておきながら、この法律は、それを逆行するものと言えるでしょう。
 介護保険への統合という話がもちあがり、当事者たちのアピールによって、それを 引き戻し、グランドデザイン案というものを厚労省が考え、今度は、障害者自立支援法案をあっという間に作り出し、国会の場で話し合われているのです。それもおそらく与党(自民党、公明党)の数の力によって、強引な形で国会を通過し、厚労省に戻って、政省令という具体的な肉付けをはじめていくのです。

◎私たちは動きました。(大阪)

 私たちは、障害者自立支援法案の問題点や国の横暴なやり方を多くの人に知らせたり、国会議員などの人たちに分かってもらうための勉強会や集会を幾度となく、行ってきました。また、大阪では、1500名の当事者と関係を持つ人が、御堂筋をデモ行進したり、大阪城の野外音楽堂でイデオロギーを超えた仲間たちが、3700名が集まり、アピール活動を行いました。
3700名が集まった、大阪城野外音楽堂での大集会。
4月14日に行われました。

 全国的には、厚生労働省前や国会議事堂前でビラまきや多くの人々が、アピールをしたり、徹夜の座り込みをしました。そして、全国統一行動として、各地の駅頭や市役所の前などでビラまきなどを行いその後で市役所の担当部局に対して、要望書の提出などを行いました。
                    
   

◎私たちは動きました(豊中)

 豊中でも岡町商店街や市役所前でビラまきをしたり、豊中駅の人工広場では、アピール活動を行いました。両日とも雨が降って最悪の天候でしたが、そこに集まった仲間たちは、思い思いに声をあげていました。その人たちは、CIL豊中のメンバーだけではなく、地域で活動している作業所の人たちや親の会の方々などで、考え方を超えて、この現状は、ほっとけないという思いから集まり、両日で合わせて100名を超えたと思います。

◎私たちは動きました(東京)

 また、東京の日比谷公園とその周辺では、7月5日に集会と国会議員に対する請願デモが行われ、それには、全国から11000人にのぼる人々が集まりました。後からその様子をニュースで見たのですが、集会とデモの場面をヘリコプターから映していて、人の多さとデモ隊の長さに驚きました。


◎国会内で傍聴しました・・・でも。

7月5日に東京で行われた、緊急大行動。
1万人もの人が集まったのは初めてのことでした。
 私は、その翌日の午前中に行われた。国会での厚生労働委員会を傍聴し、あきれると同時に憤りを感じました。
 それは、会議に対するマナーの悪さです。質問者の人が真剣に質問しているのに周りの議員さんたちは、私語をしたり、新聞を読んだり(きっと郵政民営化の国会決議の記事だと思う。)議場を出たり入ったりするのです。あげくの果てには、携帯電話を使って話をし出す人もでる始末です。
 また、驚かされたのは、議員さんの質問です。障害者自立支援法案に関する質問だったのですが、「認定審査会の公平を期すために障害当事者を入れてはならない。」というような質問が出たのです。先にも述べたようにこれに関しては、市町村の裁量にまかされており、これは、厚労省と障害者団体との約束で築き挙げたものです。この議員さんは、それを知らないのか、また、知っていて言っているのかは分かりませんが、このことについてもっと勉強して欲しいものです。またある議員さんは、障害者の就労保障に関して、「視覚障害者の就労は、あんま、はり、灸と決まっている。最近、外国のマッサージが氾濫していて、視覚障害者の就労を脅かしている。法律でなんとかならないか。」というものがありました。


視覚障害者の仕事は、あんま、はり、灸だけというのは、20年以上前の話だと思うのです。今では、パソコンを使った仕事とか、オペレーターとか、学校の先生もおられます。障害者の仕事を決められるのは、困ったものです。議員さんの考え方をもっと柔軟にして欲しいものです。また、答弁をした、大臣や厚労省の人は、「前回言ったとおりです。」とか、「善処します。」「考えておきます。」などの言葉が飛びかい、本当にこの人たちにまかしていていいのかなと思ったのと、今以上に私たちが、動いていかないと障害者の生活は安心できないと同時に地域での自立生活を勝ち取っていく重要性を感じました。
 この行動は、まだまだ続きます。私たちが今つぶれていては、これから地域で生活しようとする人たちに不安を与えます。この状況が、少しでも障害者の生活に沿ったものにしていくため多くの仲間と頑張っていきます。

(文責:大友)

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8. バリアフリーな旅行(無重力の世界へ)

広報誌編集部

 暑い夏、いかがお過ごしでしょうか?こんな暑い日が続くと海や山にお出かけ、また、海外にひとっとび!な〜んてするのもいかがでしょうか。でも、交通手段の問題や宿泊地がバリアフリーなのかさまざまな不安がありますよね。そんな不安に打ち負けて、旅行の計画を断念したり、めんどくさくなったりと挫折した人もいませんか。
旅行会社は旅の計画を一緒に考えてくれますので、さまざまな不安をなくし、旅行の手助けをしてくれる所でもあります。そこで、今回ははじめて旅行会社に訪問し、バリアフリー旅行の配慮する点はどこなのか、今までどのような人がどんな所に行ってきたのか、またおすすめの場所はどこなのかなど取材に行こうと思いました。

 まず、どこの旅行会社に行けばいいのかインターネットで調べたところ、ほとんどの旅行会社はバリアフリーの宿など紹介をしております。そこで、私が目に付いたのは重度な障害があってもダイビング体験ツアーを紹介しているホームページです。それは、ウエットスーツを着て車いすのまま水の中に入って、ダイビングスタッフがその人をサポートしている写真が載っているのです。このダイビング体験ツアーがどのようなものか気になり、この旅行会社に取材に行ってきました。

                   

Q.バリアフリー旅行はどんな配慮をしていますか

 障害者や高齢者で介助が必要なお客様に対して、ニーズに合わせた手作りの旅行であり、普通の旅行に比べると配慮する点が多いだけです。バリアフリーとは、人それぞれ何がバリアになるのか個人差があるので、その人のニーズや身体面、生活面に合わしてプランを組み、配慮をしています。
楽しい旅行にするためには、旅行会社とお客様と話し合いのなかで交通機関や宿泊施設などを決め、旅行プランをつくりあげていきます。
旅行に行く前に不安なことがあれば何でも相談してください。例えば、旅先で体調を壊すなど緊急事態なことになったらどうなるか、おりる駅がバリアフリーなのかなどなど。事前に病院や駅など調べられるものは何でも調べておきますので、不安なことがあれば何でも言った方がいいです。また、どうしても旅行会社で相談に出かけられない方に関しては自宅に訪問をすることもあります。

Q.どのような方が利用されていますか

 個人旅行では、重度で電動車いすをつかっている方で、家族の方と一緒に行かれているケースが多いです。日頃介護をしてもらっている両親に、感謝の意味をこめて家族で温泉旅行に行ったり、おいしいもの食べたりと親孝行の手段として旅行に行くケースも多いです。知的障害の方は、施設や学校関係からの依頼が多いです。割合では肢体不自由の方が40%、知的障害の方は60%の割合です。ほとんどの方は何度もここを利用して何回も旅行に行かれています。

Q.介助者がいない場合のどうなるの
 
 旅のボランティアグループへ依頼して有償ボランティアを探します。でも、安心のため自分自身のことをよく知っている人を連れてくる方がいいです。介助者という関係ではなく友だちのような関係の方が旅行に行くにも楽しいですね。

●ユニバーサルダイビング体験ツアー
     (スキューバーダイビングツアー)とは


 障害者や高齢者の方を専門にスキューバーダイビングを指導してくれる団体があり、そこの協力の下、ダイビングを体験できるのです。マンツーマン形式(障害者も健常者も同じ)で行い、その人のペースで講習を進めていきますので安心です。どんなことも遠慮なくダイビングスタッフに声をかけてください。
 場所は和歌山の南に位置する串本 までリフト付貸切観光バスで行きます。
 大阪市内から串本までの所要時間は 約4時間30分かかります。すると そこには、目の前に広がる太平洋の広大なパノラマ、海の中では一面に広がるテーブル珊瑚、カラフルな生物たちと出会うことができます。

○基本的なコース紹介

・体験ダイビング満喫コース
1日目 
 お客様指定地==昼食==シュノーケリング体験――シーフレンド有田(宿泊)
2日目 
 シーフレンド有田――ビーチ体験ダイビング 昼食===お客様指定地

・体験ダイビング&観光コース
1日目 
 お客様指定地==昼食=白浜アドベンチャーワールド==シーフレンド有田(宿泊)
2日目 
 シーフレンド有田――ビーチ体験ダイビング 昼食===お客様指定地

Q.料金は? (8名で体験ダイビング満喫コースの内容で旅行した場合)

 基本料金 20,000円(バス代・高速代・乗務員費用・旅行損害保険・宿泊代・昼食代)+シュノーケリング 1,575円+ビーチ体験ダイビング 10,500円
=一人当たり 32,075円

*基本料金は人数によって異なります。10名=18,000円 5名=24,500円
 同行者でダイビングをしない方は観光に行って頂くことも可能です。
また、上記の料金は参考例であり、季節によって料金が異なります。

Q.スキューバーダイビングの注意する点は

 誰でも潜れるものではなく、さまざまなハードルを越えなければなりません。まず、医師に診断書を書いてもらい病院の許可をもらいます。そして、ダイビング協会からの申請書に記入し、協会からの許可をもらわなければいけないのです。今まで興味があり、話しを聞きに来ても、ここで挫折する人が多くいているのが現状です。そのため「絶対に潜るぞっ!」という強い意志がなければ目標を達成することはできないのです。
 宿泊地はダイビングショップの宿で、バリアフリーになっているとか関係なく、どんなバリアがあったとしても、みんなで助け合って乗り越えていくことになっています。また、串本まで遠く、身体的に一泊するのが難しい人には淡路島をおすすめしています。淡路島なら車で約2時間、日帰りで行くことも可能です。

●取材を終えて・・・。

 障害があっても、どんなことがあっても“決してあきらめてはならない!”と感じました。この障害とは、身体的や精神的なもの、交通、環境、手続きなどである。たとえ大きな壁があったとしても、それをサポートしてくれる人が必ずいると思うのです。もしも、いなかったとしても、まずは自分の思いや情熱を相手に伝えること。そうすればきっと自分の夢や希望に近づくことになるだろう。
 スキューバーダイビングに興味をもって、旅行会社に行き挫折した人たちが多いと言っていました。私はその人たちが“まだあきらめてない”と思いたい。あと少しの自分の思い、あともう少しの努力が足りなかっただけで、まだ終わっていない。再びチャレンジしてもらいたいものです。
(古川)

 電動車いすを使っている僕には、“旅行”といえばとても大変という思いがあります。僕は外出することが大好きだけど“旅行”となると話は別になり、過去にも友達同士で何度も旅行の計画をたてたが、どうしても気持ちが後退するのです。なぜなら、宿泊するホテルなどに身障者用トイレやお風呂があるのか、自分に使いやすい物なのか、とても心配なのです。こうしたことから旅行に実現できずにいました。だけど、取材をする中で、旅行会社の方が、打ち合わせの段階で「困ったことは何でも相談してください」という言葉で安心することができました。
 スキューバーダイビングに関しては、重度な障害があってもサポートしてくれるスタッフの存在を知り、水の嫌いな僕でもダイビングができそうな気がした。いずれ、僕もスキューバーダイビングにチャレンジし、海の中の無重力を体感し、未知なる世界を感じたいと思いました。            (鍛治)
 
 今回取材で障害者の夢や希望を熱く語ってくれました、日本空輸椛蜊纓キ行センター、バリアフリー旅行担当の奥谷さん、どうもありがとうございました。

(文責:古川)

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9. ぼくの日曜日

海帰優人

「さようならエアコン」

 あぁ、車いすデ、風通し悪いんやぁ。背中がムレるんや。マタがムレるんや。体のそこらじゅうに湿疹ができて、あぁ、カイィー。
 あぁぁぁぁ…ねむたー。電気蚊取りを枕元と足元に置いとるのに、一晩で10箇所も20箇所も蚊が刺しよる。
 もう、ええかげんにせい!自立支援法なんか通ったら、みな障害者働かんようになるぞ!(行き場のない八当たりが、暑さで黄色くなった目の前を行ったり来たりする)
 ほんでも、夏が好きや。
なすびのぬかづけ、はもの照り焼き、もも!ゴーヤちゃんぷる、岩牡蠣、美味い豚骨ラーメン、みょうがの味噌汁、豊南市場の南端の角の洋食焼き屋のすぐ隣の漬物屋のトマト、豊南市場の駐車場の向かいのコンビニの店員Tさんがのませてくれよる、よく冷えたカフェラテ、夏はエエで。
 もう1月ほど経ったら、夏の果てや。服部緑地で空見上げたら涼風が木々をゆらしよる。ツクツクボウシが聞こえてきたら、おっさんの心もキュっとなるんや。夏はエエで。
 この夏は、さらに悦楽(たのしみ)が加わったんや。それは一月あたりの電話代+光熱費を合計して1万円切ることを目標にしたこっちゃ。
 今年の前半は自立支援法関連の抗議行動に参加するために何回も東京へ行かなあかんかった。そやさかい、いろんなモンを節約する努力をしたんや(美味いモンは食うてたでぇ)。
 ほったら、いつも6000〜7000円ぐらいかかっとった電気代が5月なんか2000円ちょっとで収まったんや。電話代も固定電話と携帯を合わせて1万円近くかかってたのが、6000円切れるぐらいになったんや。
 おもろいなぁ、と思うた。水道代、ガス代、全部、全部合わせて1万円切れたら、すごいなと思たんや。
 さっそく、挑戦してるでぇ。6月は1万2千円ちょっとやった。惜しかったぁ、クソォ。
 7月はいまのところ、かなりエエ線行ってるでぇ。
 いちばん銭(ヂェニ)がかかるのはエアコンやねん。そやで、先月「ミドリ電化」で1400円の扇風機買うたったワ。へへへン。ウチに来るヘルパーの「タケオ」なんか、かわいそうに汗ブルブルや。ごめんなぁ「タケオ」。
 がんばって節約すんでぇ!1万円切んでぇ!
 見ててやぁ(誰に言うとんやろなぁ)。

 8月2日〜4日にまた東京へ行くことになったんや。こないだの抗議行動なんか、1泊4日のムチャクチャなスケジュールやったワ。行きも帰りも夜行の長距離バスやった。車いすのままでウトウトすんのが得意やさかい、平気で寝られるわ!と思うとったら、とんでもなかったでぇ。夜行バスで、ずっと不規則に揺れとるんや。うつむいてウトウトしとったら、しまいに首が痛なりよった。
こらっ!厚労省や財務省の役人、それからナントカ党とカントカ党のやつら、医者料(わざと字ぃ間違うとんじゃ)払わんかい!
どいつもこいつも、一人ひとりの生活をよう見て法律作らんかい!お前ら金勘定しか頭にないんやろう!ちゃんとビジョンとポリシー持たんかい!
もう今回は半分はヒッチハイクみたいなもんや。作業所で働いとるツレの同僚の家に泊めてもらうんや!全然知らん家やぞ!これでもなぁ、ワシはデリカシーの固まりなんや。でもな、でもな、金が無いのはしゃーない。タダで泊めてもらうんや。こういうときの大阪らしい手土産てなんやろなぁ、誰かえぇの知っとったら教えてや。
ヤケクソで書いてきたけど、この文章の底辺に流れとる思いをどれだけの人が解ってくれるやろなぁ。

まぁ、これからもおもろいヤツ書くさかいに、楽しみにしとってや。ほんなら今日はこのへんで、さいなら〜。

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10. 第21回DPI日本会議全国集会in福岡の参加報告

上田哲郎

 2005年6月11日(土)と12日(日)の2日間にわたり、福岡国際会議場にて、DPI日本会議2005年度総会と全国集会福岡大会が行われ、参加してきました。
 6月11日(土)、総会では、前年度の全体報告、各事業に関する報告、組織運営に関する報告が行われました。今年度の活動方針については、「地域生活支援」、「障害者差別禁止法の制定」、「交通バリアフリー法の見直し」、「精神障害者関連」、「ともに生きる教育の構築」、「国際活動・支援」、という6つの項目を重点課題として行うことも決定されました。
 6月12日(日)、午前中の全体会では国際シンポジウムが行われ、「障害者の権利に根ざした北東アジア小ブロックの行動計画−福祉サービス、権利保障、クロスディスアビリティー、国際協力等の課題をめぐって」という題目に沿って、中国代表で中国障害者連合会副主席・張宝林さん、韓国代表の韓国DPI会長、延世大学教授・イ・イクソプさん、モンゴル代表のモンゴル障害者連盟議長・サインバヤ・サムダンジャムトさん、日本代表のDPI日本会議議長・三澤了さんが、北東アジア小ブロックという小地域で、DPIアジア太平洋ブロックでの障害者の権利確立のためには、どのような行動計画を作成していけば良いのかを、アジア・ディスアビリティ・インスティテート代表の中西由起子さんのコーディネートで、各国の代表がそれぞれの地域の実情を踏まえながら、バリアフリーや権利擁護等の現状報告や当事者主体の運動、地域生活支援の仕組みや国際連携・国際協力についての課題の解決方法について意見を述べておられました。
 最後に韓国代表のイ・イクソプさんが、日本会議の常任委員で条約を担当しておられる東さんに対して、「韓国は日本の障害者施策を見習って作り上げてきた、いわば日本と韓国は兄弟のようなものである。しかしながら韓国から見て日本の障害者の権利条約に対する姿勢に希薄さを感じているので、是非とも兄としてもっと頑張ってほしい」と述べておられました。東さんも会場におられる参加者の前で堂々と「はい」と手を挙げながら答えられていた事がとても印象的でした。
 午後からは、「地域自立生活支援のあり方−グランドデザイン案をめぐって」、「交通バリアフリー法の検証と改正すべき課題」、「権利擁護−虐待問題の解決に向けて」、「障害児の特別教育を考える」というテーマで、4つの分科会に分かれ、全体会には行えない日本の障害者施策の現状報告や課題の検討を行いました。
 「地域自立生活支援のあり方−グランドデザイン案をめぐって」というテーマの分科会1では、障害者施策のグランドデザイン案について不十分な議論しかしていない中で、障害者自立支援法が上程されたことから。障害者の生活を根底から覆しかねない重大な問題の再認識と分析や評価を行い、障害種別を越えてこれから地域での自立を進めていくための方法等を、話し合っていたようです。
 「交通バリアフリー法の検証と改正すべき課題」、というテーマの分科会2では、2000年に制定・施行された交通バリアフリー法は、この5年間で、交通環境についての整備を目的とした「基本構想」が全国各地で策定され、「基本構想」を基に交通施設の改善の検討や計画の実施が行われているのですが、2006年に交通バリアフリー法の改正を控え、この法律の意味や目的、対象をはじめ、整備基準にも修正が必要な箇所が多くあり、この5年間を検証し、これまで以上に法・環境整備の充実すべき方向性について話し合っていたようです。
 「権利擁護−虐待問題の解決に向けて」、というテーマの分科会3では、障害者差別や偏見が深刻な形で表面化している虐待問題に対する取組みに向けて、その課題とはどこにあるのか。被害当事者が人権侵害という差別や虐待などを受けた時にどのような権利救済策があるべきなのかなど、虐待問題全体の解決に向けて、障害者差別禁止法との関連を含めて、権利擁護の視点から議論されていたようです。
 「障害児の特別教育を考える」というテーマの特別企画であった分科会4では、障害を持つ人への教育に関して、様々な意見を交換し、交流をする場を設けられました。私自身も障害児教育に興味を持っていたのでこの分科会に参加し、福岡県内の中学校養護教員、養護学校養護教員、保護者、障害当事者の4人がシンポジストとして、現状の課題や報告を述べられ、その後会場からの意見が飛び交っていました。保護者の方の話で、学校が町に1校といった環境の下で、障害を持つ子を公立学校へ入れる体験を話され、卒業してもスーパー等地域で声をかけられる環境がすばらしくて嬉しいし、それが本来普通なんだと言われたことが印象的であり、私自身の考えと同意していたことも喜ばしいことでした。

 今回参加して、国際的な連携と当事者における専門性の向上心が必要と感じ、それが次世代の後輩たちの為になると信じ、更なる努力を尽していきたいと思いました。

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11. 地域の作業所の活動を紹介します −第8回−

広報誌編集部

 「ゆうかりと聞けば、コアラや、カンガルーを連想するなあ」
 さあ、今回の作業所では、どんな出会いがあるだろう? 
 今回最初私たちを迎えてくれたのは、二人のスウィートな女性だった。
 「今みんな、リビング紙の配達に、自転車で回っています。」


今回の目玉は、あめ

 どこの作業所もそうなのですが、自らの自己表現の対象を何にするのか、何を売って地域と、人との関わりを持つのか暗中模索する。この作業所は、廃品回収、学校への弁当配達、鶏卵の配達なども経て、今は、あめをつくっている。
ひとつ頬張ると、なつかしい、心がホンワカ、ほんわかしてくるような温かな味のする、手作りの無添加あめである。(あ〜、ひとつぶのしあわせ〜)
このほかに、バザーをしたり、サンケイリビング紙、広報「とよなか」の配布を委託されたり、えーぜっと作業所の無添加パン、吹田の「ぷくぷくの会」の無添加クッキーを仕入れて、学校(小学校が主)に、配達販売もしている。また去年までは、あめが製造過程上作りにくくなる夏場、予約制でホウサン団子も作ったりしていた。
 現在、障害者メンバー10名、スタッフ3名、パート3名の人が働いている。
「まだまだ落ち着かないけれど、地域に根を張ってみなさんに愛される作業所を目指してがんばります」と、支援スタッフの、赤沼さん。
無添加で、真心のこもったあめ作りは、たいへんそう。
さて、このあめ、種類も、ココア、抹茶、コーヒー、バターの4種類で、秋だけの限定でピーナッツあめもある。その作り方は、なべの中に共通の材料、練乳、水あめ、砂糖をいれ火にかけ、このとき焦がさないように、素早くよくかき混ぜて適温になるまで練って、最後に粉状のネタ(ココア、抹茶など)をいれ、素早くバットに移す、それを切り分けて、包装すると、出来上がり。
最初、試作段階では、材料の量の割合が見極められず、一苦労があったとのこと。
でも、ピーナッツは豆状のものをすりつぶしていれるので、手間もかかるけど、人気商品。楽しみに待っておられるお客さんもいるようである。想像するだけで、とってもおいしそう・・・。ごまもいれてはみたけど、ごまあめは評判が今ひとつだった。
時間的には、開始から完成まで50分ほど。練ってネタをいれるところまでが、20分。バットにいれて、ほどほどに固まるまで30分くらい。切り分けるところまで時間との闘いで、火や包丁も使い危ないので、スタッフがやり、包むのをメンバーがしている。
一回にできる量は20袋。1袋(80g)200円

丹念に、精魂込めて作っています。


どんどん、買っていってくださ〜い!!

 将来への夢は、と、メンバーのおひとりにお聞きすれば、大きいビルを建てたいとか。きっとそれは「お菓子の家」でしょうか。それはさておき、あめだけで収入がまかなえるようになることが目下の目標で、もっともっと季節限定の種類を増やしていけたら、いいのだが、何が、ネタになるのか今摸索中である。

集中しながらも、
和気あいあいと包装作業を進めるメンバーたち

 一度、読者の皆様も買われてみて、手作りのおいしいあめをなめてみて、なにかよいアイデアを提案してあげてください。ただし、果汁などの液体のものは、固まりにくくだめだそうだが・・・・。
 売っている所はサボテン公園跡のローズコミュニティーの喫茶コーナーと、福祉作業所の商品が集まる「なかまの店」で、このあめを作り始めたのも、「ゆうかりの家」の存在を知ってもらうことと、このなかまの店で自主製品を作り出すことがねらいであった。バザーも大切な収入源の一部で、物品提供者にお礼として、このあめを差し上げているそうだ。 

出来上がったあめです!

「お忙しいところ、有難うございました。買ったあめにおまけのあめまでつけていただき、子どもや介護者となめました。評判はとっても良く、「今度買いに行きたいですね」と、いっておられました。秋のピーナッツあめが、とっても楽しみです。

(文責:塚原)

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12. カジ論!? part.2

カジ

 街に出かけているといろんな人との出会いがある。僕は、電動車いすで外に出かけることが好きで、どこへでも走りまわっている。そんな時、いろんな人と出会い、よく声をかけてくれる。
 話し声が大きいせいか、僕の姿はよく目立ち、僕が知らない人でも「かっちゃん元気?」なんて事もしょっちゅうだ。(かっちゃんとは僕の愛称)また、その場では声をかけずに行き、次会ったときに「かっちゃんこないだ女の子といたやろ?」とか言われてあわててしまう事もたまにある。こんな時は「だまっていてほしいなー」、「やっぱり目立つと嫌やなー」など思ったりする。だから友達に「おまえ絶対街で変な事できへんよなー。まー顔はもともと変やけど・・・。」なんて事もよく言われる。だけど基本的には声をかけてくれる事は嬉しい。知らない人が声をかけてくれた時も僕は笑顔であいさつをする。

○「出会い」だけでなく思わぬ「再会」もある。

 今年の春に、いつもと変わらぬ通勤する道で、再会するという出来事があった。それは今から9年前、中学2年生の頃。僕がまだ自走の車いすで30分かけて登校していた。(前年までは2才年上の兄に車いすを押してもらっていた)。僕は兄より早く家を出て、行ける所まで自分で行くのです。そして、途中からは後から来る兄や友達に押してもらっていた。しだいに力がつき道にも慣れたせいか、1年生の後半には全部一人で登校する日もあった。
 ただ一つ心配だったのは、でこぼこ道があることだ。このでこぼこ道は急な坂道なところにあり、自走車いすにとってはとても進みにのだ。だから、通りかかる人を待ち「すみません・・・押してくれますか?」と声をかけていた。そんな毎日を過ごす中、犬を散歩しているおじさんと出会う事が多くなってきた。
 僕は犬が嫌いだからそのおじさんには声をかけなかった。しかし、おじさんは僕のことを気にして「押してもいい?いつも大変そうやね」と声をかけてくれた。犬が苦手な僕だけど毎朝会っていると、おじさんのつれてた犬はおとなしく可愛く思え、この犬だけには慣れることができた。また、おじさんとも親しくなり、時間にしてわずか5分だけど車いすを押してもらいながら話をしていた。例えば「今日英語のリスニングテストなんですよ〜。僕は日本人やから英語嫌いなんですよね〜。」と言うと「おっちゃんもそうやな〜。でもテストがんばりよ・・・」などたわいもない話をしていた。そして次の日に会った時「やっぱりリスニングテストあかんかったですわ〜」なんていうようにテストの報告していたのです。おじさんは散歩をしながら僕と話をするのが「出勤前の楽しみ」と言ってくれ、僕も毎朝楽しかった。
 
 やがて中学校を卒業し、でこぼこ道を通ることがなくなり、おじさんとも、犬とも会わなくなってしまった。僕は時々「近所やのに会わへんな〜」と思っていた。
 そして迎えた今年の春、いつも通りに通勤していると、あるおじさんとすれ違った。僕は何も気づかないままでいた。だけどおじさんの方から「もしかして・・・かっちゃん?」って僕に近よってきた。声をかけられた時、「もしかしてあのおじさん・・・」と思ったら、中学校の時に犬を散歩していたあのおじさんだった。まさに“思わぬ再会”だった。おじさんは僕を見るなり「ふけたねー。でも大人になったって事やね。あいかわらず犬は恐いの?」と聞いてきて、いろいろ近況を話した。聞けばおじさんの方も僕が中学校を卒業した頃に東京へて転勤し、今年の春に定年を迎え豊中に帰ってきたそうだ。また、おとなしく、可愛かった犬は、残念な事に4年前に亡くなったそうです。おじさんは9年前に比べると髪の毛が少なくなり、月日の流れを感じた。僕もおじさんもあの頃のことをなつかしく思えた。おじさんは以前の家からあのでこぼこ道まで週に二度ほど一人で散歩しているそうです。時々今も朝出会うとなにげない話をするけど、その時は9年前の中学生に戻った気分になる。ちなみに僕とおじさんの出会いをつくったあのでこぼこ道は、工事がほどこされ、とてもきれいになっている。
 今回のような昔懐かしい人との出会いがあったり、友達と買い物や食事に出かけ楽しい時間を過ごしたり、時には楽しいことばかりでなく、電動車いすに乗っていて転倒してしまったり、前回のカジ論で記事に取り上げさせてもらった出来事など、本当に街へ出かけているといろんなことがある。
 僕はよく周りの人から、街に出かけすぎなのか、「あんた外で走りまわらんと、たまにはさー、家でゆっくりおとなしくしとけばー?」なんてことを言われる。でも僕はもっともっと街へ出かけて楽しい時間を過ごしたいと、おじさんと再会したことでより強く実感したし、「全ての始まりは街へ出かけているからしゃーないなー」とこれまた実感した。
 今度街で僕を見かけて、よかったら声をかけてくれると嬉しい。

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13. 学生無年金障害者訴訟4周年記念のつどいに参加

広報誌編集部

 去る7月10日(日)、難波OCATにて、『学生無年金障害者訴訟 提訴4周年記念のつどい』が開催されました。3月18日に行われた結審から約4ヶ月、まだ判決の日は決まっておらず、その一方全国各地では、京都・札幌で相次いで不当敗訴の判決が出されるという、厳しい状況になっています。そんな中、大阪の原告団も何とか気合いを入れ直そうと、4周年記念のつどいが企画されたのでした。
 開催にさきがけ、バイオリンによるオープニング・コンサートが行われ、広澤大介さんという人が演奏しました。少しでも心和むつどいにしたいということで、コンサートの時間が設けられたそうです。

会場全景

 コンサートのあと、13:30よりつどいが開始され、はじめに主催者として学生無年金訴訟関西の会代表、鴨井さんが、続いて来賓として全国連絡会会長、吉本さんが、それぞれあいさつをしました。
 その後、全国の弁護団や、各地の原告団の人たちが激励の言葉を述べました。その中で、「今の政治は社会保障に限らず、全体的に国民に負担を着せるようなものになってきている」、「無年金訴訟は今、連勝の後に連敗が起こるという激戦期にある」、「先日東京で、障害者自立支援法案に反対する大規模なデモが行われた。」といった話が出されました。
 学生無年金訴訟のつどいですが、先般衆議院で可決した障害者自立支援法案のことも、話題に上がっていました。考えてみれば、ふつうに障害者年金をもらっている人でも、応益負担は大きな経済的打撃を与えることになります。ましてやその年金すらもらえていない人となれば、いかに深刻な影響を受けることになるか、察するに余りあるというものです。これからは無年金問題を語る上で、障害者自立支援法案の問題も、確実に切り離せなくなるだろうなと思いました。

 この後、全国弁護団からの報告がなされたのですが、最初に発言した広島弁護団の人の言葉が、心に残りました。曰く「みんな裁判なんかやったこともない人が、今回訴訟に踏み切りました。まさか自分が裁判をするなんて夢にも思っていなかった人ばっかり。ほんと、最初はどうなるだろうと思いました。」
 「そりゃそうだろうな。」と思います。一言で『裁判を起こす』と言っても、はじめは不安も強いに違いないし、相当に勇気ある決断を迫られるはずです。日頃テレビのニュースなどで、『裁判を起こした』という言葉を何気なく耳にしていますが、そこへ至るまでの“見えざるドラマ”を想像したことが、果たしてあっただろうか?と感じずにいられませんでした。
 新潟地裁で弁護団事務局長をやっている和田さんは、「現在、裁判官の間で判断が分かれている状況だ。この流れを見る限り、大阪地裁で勝利をしても、最高裁までを睨んだ闘いをしていく準備をしなくてはならないだろう」と述べていました。
 続いて、全国各地の原告やその家族が紹介され、一人一人激励の言葉を述べましたが、途中で涙ぐむ場面も、何回か見られました。特に不当判決が出された東京高裁の原告からは、「本当に悔しい判決で、『こんなことを言う人が今の時代にまだいるのか?』というような内容の判決になりました。こんな判決が出される日本ではいけない」と、怒りを込めて訴えていました。

勢揃いした、大阪原告団の方々。勝利に向け、決意を新たにしました。

 さて、激励の言葉の後は、先に不当敗訴がなされた京都地裁について、小林弁護士より報告され、「本当は勝利の報告をみなさんの前でしたかった。大変残念だが、大阪のみなさんの勝利を心より願いたい」とエールを送っていました。前半の最後は、大阪弁護団の中西弁護士より基調報告がなされました。この中で、今回の大阪での裁判の特徴が何点か挙げられ、まず原告の数が11人と最も多いこと、府内在住の人だけでなく、近隣府県に住んでいる人も一緒に裁判をやっていること、そして原告の数が多いだけに、証人尋問の機会を一人一人に与えるべきか、それとも時間がかかるので何人かの代表だけに与えるべきか、議論がなされたということが言われました。尋問は、結局11人全員に対して、少し持ち時間を短めにしながらも行われました。そして学識経験者の証人が4名というのも、全国で最多だということです。更に強調すべき点として、1959年に国民年金法が制定されたその時から、法律の内容がおかしかったということを主張した点が挙げられました。



 以上が前半のプログラムで、後半は5人の方によるリレートークが行われましたが、紙面の都合上、割愛させていただきます。今回のつどいで、全国から沢山の励ましを受けたことは、大阪原告団にとって大変心強いものになったと思います。

(文責:根箭)

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14. こんな制度もありました
   〜「生活福祉資金制度」について〜

事務局

 私たちは、いろんな工夫を凝らしたり、生活を助けてくれる用具を使っています。また、地方都市で交通機関などが発達していない地域では、生活をしていく上で自動車が必要になってくると思います。特に障害者の世帯では、通院をする時や通学をする時、そして、家族や友だちと遊びに行く時も自動車を使って、外出をすることが多いのです。

◎自動車を購入する時

 自動車を購入する時には、軽自動車でも100万円を超えるのです。また、そこに車いすの人が使いやすいようにリフトやスロープなどを付けたり、障害者自身が運転するために改造をすることもあります。それらを合わせると費用が多くかかり総額で200万円を超えることもあります。軽自動車ではなく、普通の乗用車やワンボックスカーになると300万円以上になることもあります。
 車が欲しいけどお金が乏しく、「絶対に無理だ」と言って、諦めている人も多くいます。それは、外出する機会を失ってしまい、可能性があるのにそれを発揮できなくて埋もれてしまっている場合もあります。
 こういった可能性をもっている人を少しでも外に出て、社会参加を促す意味から自動車を購入する時に使える「生活福祉資金」の制度があります。名前を「福祉資金・障害者自動車購入費」といって、障害者もしくはその家族が本人の社会参加を目的とするために自動車を購入する際、この制度を受けるための相談ができます。
 この「生活福祉資金」の限度額は200万円で5年間で完済することが条件となります。
200万円ぐらいだったら、障害者が運転しやすい改造車や乗りやすいリフト付きの自動車をつくるときの一部を貸し付けてもらうこともできます。ただし、カーナビとか保険料などはこの制度の対象外になります。

◎家を改造する時

 家の改造、例えば段差をなくしたり、玄関ドアの幅を広げたり、床を車いすでも動きやすいようにしたり、また、お風呂やトイレ、台所などを車いすでも使いやすいようにしたりとか住宅改造に関わるものとして、「住宅資金」があります。これは250万円を限度とし、7年以内に完済することが条件となります。

◎高額な日常生活用具を買った時

 障害者が日常生活をおくっていく上で、日常生活用具は必要なものです。でも、それは値段が高いものが多く、また、高価なものでないと自分の生活に使えない場合があります。例えば、身体を移動する時に使うリフトは、行政からでる助成額は16万円だけです。リフトの値段は安いものであったら20万円ぐらいであるのですが、本当に使えるものは50万円から100万円以上するものもあります。ですから、リフトを買う時には、自分で出す額も多くなっていくのです。その時に「福祉資金・障害者等福祉用具購入費」というものがあり、80万円を限度に制度を使うことができます。これも6年以内に完済することが条件となっております。
 私は、この資金をつかって8年前にイギリス製のリフトを購入しました。当時、行政のリフト助成金はまだなく、50万円ほどするものを自分で買わなければなりませんでした。このお金の捻出に考え倦ねていた時に、この「生活福祉資金」のことを知り、すぐに相談に行きました。そこで、自分の生活の中でのリフトの必要性を訴えて、また、医師の意見書などを添えて、この制度を申込みました。しばらくして制度が使え、リフトを購入しました。そのときから介護者にかかる負担が軽くなり自分も楽になりました。

◎この制度を使うには

 この制度の相談窓口は社会福祉協議会になります。
「生活福祉資金」制度にはもっと種類があります。生活していく上で、この制度を使いたい時やまた、この制度を知らなくて困っている人がいたらどんどん教えていってください。まずは社会福祉協議会(豊中市だったら岡町駅下車)に行って相談しましょう。
詳しくは社会福祉法人 豊中市社会福祉協議会
           TEL (06)6841−9393
           FAX (06)6841−2388

(文責:大友)

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15. 遠くなくても行きたい

西九条舞

最終回 箕面の滝

 残暑いかがお過ごしでしょうか?
 もうすぐ秋です。涼しくなると外を歩くのも楽しくなります。今回は少し歩いて、箕面の滝を採り上げたいと思います。

A 阪急沿線の方

 宝塚方面行きの電車に乗り石橋で箕面行きの電車に乗り換えてください。前から6両目(後ろから3両目)の真ん中のドアにいるとエスカル(写真1)の乗降口に近くていいと思います。箕面は先頭車両の前のドアに乗ると一番、改札に近いです。石橋でエスカルに乗るのが嫌な方は池田まで行って一駅分折返す方法もありますが、駅員が認めたとき以外は不正乗車になりますので事前に説明してください。(個人的には池田駅で駅員の介助が不要なら認めてもらえそうですが…)

写真1 阪急石橋のエスカル。
普段は梅田方面行きホームに置いているようです。

B 大阪モノレール沿線の方

 蛍池から阪急に乗り換えてからは先述の通りです。

C 北急沿線の方

 千里中央からモノレールに乗って蛍池で阪急に乗り換えて箕面に行くルートがお勧めですが、千里中央から阪急バスで箕面に行く方法もあります。私が見たのはスロープ付のワンステップバスですが、ノンステップバスも走っています。ただ、全便がスロープ付のバスではなく、バスの時刻表には該当するバス便の表示はありませんで事前にバスの営業所に訊ねる必要があります。乗換えが少ない他、運賃が安いメリットもあります。
 阪急箕面駅(写真2)に到着すると、滝までの道は一本道と言っていいでしょう。とは言え、駅から滝までの道のりは2.8kmあり、しかも上り坂が続くので途中、何回か休憩を取ったほうがいいと思います。

写真2 阪急箕面駅。駅の中にもバス停付近の公衆便所にも
車いすトイレがあります。

 駅を出るとすぐに上り坂になります。しばらく行くと昆虫館(写真3)がありますが、それを越えたところに公衆便所(写真4)があります。ここに車いすトイレやベンチがあるのでここで休憩を取るのがいいと思います。ここの公衆便所の近くに龍安寺という寺があるのですが、この寺から川の対岸に架かる橋(写真5)をくぐるとすぐに勾配がきつくなります。また、道も狭くなるので行楽シーズンは注意してください。

写真3 昆虫館。ここにも車いすトイレが
あるのですが、あくまでも館内利用者用です。
写真4 龍安寺付近にある公衆便所。
気になる方は便座クリーナー持参をお勧めします。
写真5 龍安寺から川の対岸にかかる橋。
朱色と欄干と緑のコントラストが素敵です。

 しばらく歩くと修行の古場休憩場(写真6)があります。ここは先程のような広場はないのですが、車いすトイレやベンチがあるのでここで二度目の休憩を取るのがいいと思います。
 ここを越えると勾配が少しゆるくなります。戻岩橋を越えるとラストスパートです。ここでまた、少し勾配がきつくなりますが距離は短いです。少し歩くと車いすトイレがあります(写真7)。ここのトイレは昔からありそうなトイレで他の車いすトイレと比べると少し狭い印象です。そのトイレを越えるともう、滝はすぐです。

写真6 修行(しげ)の古場(こば)休憩場。
勾配のきつい坂を上ったあとなので助かります。
写真7 車いすトイレ。
よく見ないと見落としそうなところにあります。

 箕面の滝(写真8)を見ると歩いてきた甲斐があるなあと感じます。このあたりにも車いすトイレがあります。滝のそばに滝見橋という橋があります。その橋を渡り、左に曲がったところに車いすトイレがあります。向かって左側が女子、右側が男子用の車いすトイレです(写真9)。紅葉の写真(写真10)は2年前に撮った写真です。

写真8 箕面の滝。紅葉の頃でなくても
涼を求めて行くのもいいです。
写真9 滝の近くにある公衆便所。
実は2階建てで下が一般用、上が車いすトイレです。
通路の関係で車いす用トイレのほうが便利です。
写真10 2年前に撮った紅葉の写真。
実は去年も行ったのですが写真を撮れませんでした。

 箕面といえば紅葉です。やはり、土日は観光客が多いのでたとえ閉まっている土産物屋が多くても平日がお勧めです。ゆっくり見れるし、滝付近の場所取りも楽です。
 さて、箕面に行くとつい買ってしまうものは紅葉のてんぷら。(写真11)紅葉そのものには味はないのですが、衣に味がついていて、揚げ菓子の感覚で食べます。結構美味しいので今回もしっかり買ってしまいました。

写真11 紅葉のてんぷら。
箕面駅前のベンチで撮影しました。


 さて、今回で「遠くなくても行きたい」を終了します。長い間ありがとうございました。

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16. CIL豊中近況

事務局

 このコーナーは、当センタ−ホームページの「CIL豊中近況」というところから抜粋しました。事務局のようすが少しでも分かっていただけたら嬉しく思います。

2005/6/4 第一回事務所開放サロン
 本日13:00〜16:00まで、第一回事務所開放サロンが実施されました。これは今月から、毎月第一・第三土曜日に、「事務所開放」を行うことになったためで、日頃、何か用事や特別な目的がないとなかなか事務所に来づらいと思っている障害当事者に、気軽に来てもらおうというのが目的です。
 
2005/6/18 バリアフリーマップ完成記念パーティー
 2003年12月から05年2月まで、バリアフリーマップ作成事業が行われていましたが、このほど完成を見まして、それを記念するパーティーが行われました。
 1期生から3期生までの、懐かしい顔ぶれが勢揃いしました。

2005/7/9 ILP講座
 今年度第一回のILP講座、今日は3週目でした。
 今回は外出ILPですが、今日は受講生が、自分の行きたいところに関する情報を収集し、実行に向けて計画を練っていました。

2005/7/13 自立“阻害”法案可決
 障害者自立支援法案が、本日、衆議院厚生労働委員会で可決されました。昨日からCIL豊中からも2名が東京に行き、徹夜で座り込み・抗議行動をおこないましたが、まずは残念な結果になりました。恐らく秋には本会議にかけられると思います。そのときが、また正念場になります。

2005/7/15 市民講座会議
 今日夕方、急遽「市民講座会議」が行われました。国会での支援法の動きを睨み、それに合わせた若干の変更事項が伝えられたものです。

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17. サービスのご案内

事務局

ヘルパーステーションCIL豊中
ケアプランセンター CIL豊中


TEL06(6840)8195 FAX06(6840)8196

支援費制度居宅介護サービス(身体・知的・児童)  
支援費制度によるホームヘルパー、ガイドヘルパー派遣。
サービス提供範囲 豊中市及び近隣地域
サービス提供時間 24時間365日
介護保険訪問介護サービス  
介護保険によるホームヘルパー派遣。
サービス提供範囲 豊中市
サービス提供時間 24時間365日
介助サービス
 障害者自立支援を目的に、地域のささえあいに基づく登録制市民互助活動です(公的福祉制度外のサービス)。
対象者 原則豊中市在住の障害者
介助料
 【一般介助】  1時間       1,050円
 【宿泊介助】        1回(12時間以内) 7,200円
  いずれも実費交通費(市内上限800円)を負担していただきます。
 【旅行介助】       1泊(24時間)  12,400円
延長分は6時間(3,100円)単位で加算。
  介助者の交通費及び宿泊費は利用者負担です。
キャンセル料 
前日まで無料。当日は半額です。(上限10,000円)
条件の合う登録介助者が見つからず、御希望にそえない場合があります。
ホームヘルパー・ガイドヘルパー養成講座
 ホームヘルパー・ガイドヘルパー養成講座の開催(随時)。
介護保険居宅介護支援サービス(無料)
 ケアマネジャー(介護支援専門員)によるケアプランの作成、サービス事業者との連絡や調整、申請や更新の代行など。


豊中市障害者自立支援センター

TEL06(6857)3601  FAX06(6857)3602

豊中市障害者生活支援事業(無料)
 障害者やその家族等の相談等支援をします。
●ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイなどの利用援助
●社会資源を活用するための支援 ●社会生活力を高めるための支援
●ピア・カウンセリング      ●専門機関の紹介
自立生活体験室
 自立生活をめざしている障害者の方が、実際の生活に近い環境で、自立生活を体験してみる部屋です(介助者の方は無料)。
●宿泊利用 1泊1,500円 ●デイ利用 1回(5時間まで)750円
*デイ利用の場合、ご利用出来る時間帯は9:00〜18:00です。
豊中市障害者外出支援サービス(2005年4月1日改定)
 車いす対応車を運行し、一般交通の利用が困難な障害者の社会参加を支援。
利用対象者は豊中市に居住し、次に該当する人です。
@身体障害者手帳1・2級(下肢、体幹、視覚、内部)を所持している人。
A療育手帳Aを所持している人。
B腎臓機能障害で透析治療を受けている人。
注 15歳未満で車いすを使用していない人は利用できません。
  65歳以上で車いすを使用している人は利用できません(豊中市社会福祉協議会の「ほのぼの号」を利用 (6841−9393)。
利用日時 午前9時から午後5時(年末年始12/29〜1/3を除く)。
利用回数 月2回まで利用できます。
利用料・区域
@豊中市内           片道 500円  往復1,000円
A特定区域(豊中市隣接)・施設  片道 1,000円  往復2,000円
 特定施設は星ヶ丘厚生年金病院・大阪府立大手前整肢学園・大阪警察病院
キャンセル料 当日キャンセル500円
同乗者について 必要に応じて家族・介助者の同乗をお願いします。
点字名刺
ノーマライゼーションを目的に点字名刺の作成販売。
●既存名刺への点字打ち込みの場合 10枚150円
●片面名刺印刷と点字打ち込みの場合 10枚300円
●両面名刺印刷と点字打ち込みの場合 10枚350円
ロゴ・イラスト又は写真入りの場合は10枚につき50円の加算となります。
送料は一律270円です。

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18, 投稿作品・お詫びとお知らせ

ドライブ

ねえ そこの車イスに乗っている君
僕とドライブしない?
大丈夫 不安がるのは最初のうちさ
バリアフリーの車に乗って山越え谷越え
目指すのは君のまだ見ぬ景色さ
ヘルパーさんと楽しく会話しながら乗っててね
僕はハンドルを握るよ 君の為に
未来と希望と少しの勇気を持って
僕はどこまでも走るよ 君の為に
ひとつだけ約束があるんだ
それはこれから見る景色を心に焼き付けて
明日を活き活きと生きていってほしいんだ
約束だよ さあ 君の好きな街へ僕は走るよ

北摂の兄貴



その昔 君の 買い下さりし イヤリング
そっとなでつつ 病身哀なし
 
伊丹市 岩国 久美子
 


 
このコーナーでは、みなさんからの短歌、俳句、詩などを募集しております。詳しくは編集長 ま〜たれまで。
みなさまどんどんご応募ください。

 
【お知らせ】

 ・誠に残念なことですが、“機関誌マイライフとよなか”から続いていて、当CIL豊中で一番古くからの連載でありました、【遠くなくても行きたい】が、今回のvol.32を持ちまして、終了される形になりました。たくさんの方が、この記事を参考にして、お出かけされたと思います。西九条 舞さま、長い間本当にありがとうございました。
〜広報誌編集部よりお願い〜
 ・どなたか代わって、お出かけ日記?書いてみませんか?
 “書きたいけど、一人では書けない・・・。写真は自信が・・・。”そんなことは全然OK。お手伝いはもちろん、教えま〜す!毎回でなくてもOK!書きたいもの、伝えたいものがあれば、是非みなさんも編集に参加してみませんか。

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19. 編集後記

編集長 ま〜たれ

 夏ももう終わりですかね?!
 今年はいきなり暑くなり、体調を整えるどころか、無理やりついていくだけで必死でしたよね〜。ね、みなさん?。
 暑い夏にも負けず、みなさんどこかに出かけましたか?
 夏は、お祭りにプールに海、花火とにぎやかなイベントが多くて楽しいですが、そのせいか妙に秋はさみしく感じます。
 でも、秋には美味しい食べ物がたくさん。夏に冷たい物ばかり取り過ぎて、夏バテをしてやせってしまった人。しっかり美味しいものを食べ、冬に向けて風邪などに負けない体を作りましょう。
 もう、体重のことは全然OK…という人は、おいしい空気を食べに出かけませんか?動いたらお腹がすくからまた食べてしまうよ〜(><)。でも、出かけなくても食べちゃうんだったら、どんどん外に出かけてみてくださいな!そうすれば、何かおいしいもの・素敵な時間・気に入った場所が見つかり、顔が自然に(#・・#)。その笑顔、是非みんなに見せに来て下さいね〜。

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