広報誌『CIL豊中通信』Vol.49

2017年春号


も く じ




印刷版の表紙
1. 特集:私はこう生きてきた【後編】
   〜地方の自立障害者の現状とは〜

2. 重症心身障害児(者)多機能型通所事業所
   『ボーイズ&ガールズ』リニューアル開所します
3. Let’s こみゅ力! 〜2016年度ILP講座報告〜
4. ハロウィーンじゃないよ!! クリスマスパーティー2016
5. 2016年度ヘルパー現任者研修報告
6. 車いすでお出かけコーナー 第5弾
7. 「相模原事件を考える」障害者自立セミナー全体会議参加報告
  講師:立岩真也(立命館大学教授)
広報誌編集部

事務局

事務局
事務局
事務局
どんぐり
事務局
みなさんからの、投稿コーナー
8. 短歌
9. ラガールカード終了後は?-ねや散歩-
10. ぼくの日曜日
11. どんぐりのひとりごと

12. 哲珍の部屋
岩國久美子/吉村史生/阿志賀俊範
ねやたろう
海帰優人
どんぐり
上田哲郎
13. CIL豊中近況
14. サービスのご案内
15. 編集後記
事務局
事務局
根箭太郎


発行号のエトセトラ 〜春号〜











『何も見ないで鳥を描いてみよう!』
『絵が下手=手が思うようにイメージを再現してくれない』ことだと思います。
でも、「何も見ないで(再現する必要がない)描いて欲しい」
こう伝えて描いてもらった絵は、とっても自由なので、私は好きです。
勿論、依頼側も「どんな絵が出てきても否定しない」っていう気持を持つことが大事。
 自由な絵という意味では、キャンバスがエリンギパックっていう発想も、自由で好きですね。(笑)



1. 特集:私はこう生きてきた【後編】 〜地方の自立障害者の現状とは〜

広報誌編集部

 

 前号でお伝えした通り、特集後編では地方に住む障害者にお会いし、生活環境などについて取材しました。訪ねた先は篠山市(兵庫)、筑後市(福岡)、徳島市の3ヶ所です。豊中から遠く離れた地で、どんな話を聞けたのでしょうか?

中野和子さん 

自分の思いを詩にのせて

 4年ほど前に当センター主催のILP講座を受講された、兵庫県篠山市の中野和子さんの元へ電車を乗り継ぎ、1時間半かけて行ってきました。
 ILP講座を受講していた頃、住居がお寺の中にあったそうです。家の中は階段だらけで、前の道も車いすではとても上る事ができない坂がありました。現在はバリアフリーの市営住宅に母親と住んでいます。少し前までは母が車を運転していたけど、今は乗れない状況で、時々兄が買い物などに連れていってくれます。その他はヘルパーと週一回決まった時間に買い物に行く形で外出しています。

☆ヘルパー派遣事業所は2〜3箇所しかないと案内された。

 中野さんの支給時間は、通院や買い物などの外出、入浴などの身体介助を含め、全部で月40時間です。これに篠山市独自の支給基準があり、中野さんの場合は20時間支給されて、すべて合わせて60時間になっています。
 現在は毎日ヘルパーを利用しています。例えば、朝の着替えやお湯を沸かす、夕食準備などの家事、そのほか、入浴で週4回利用しています。ヘルパーの調整が出来なくて、友達に買い物を頼むこともあります。その友達も同じ人に頼むことが増えてしまいます。どうしても買い物が必要な場合は勢いに任せて一人で外出し、たまたま知り合いに出会ったら、途中まで車に乗せてもらったり、危ない面もあることはわかっているけど、知らない人にも助けてもらったり、近所の人が外出する時間を見計らって、出た先で会うように出かけています。
 日頃、自分で出来ることはしているのですが、それでもできないことを要望したらヘルパーから「甘えている」と言われ、コミュニケーションがうまく取れなくなり、結局ヘルパー事業所を変える事もありました。

☆ヘルパーが少ないために遠出ができない

 支給時間があってもヘルパーが少ないため遠出ができないのが現状です。でも、4年前のILP講座の時は、当時のヘルパー事業所に無理を言って豊中まで通うことが出来ました。その時に、箕面市で一人暮らしをしている当事者スタッフと出会い、いつか自宅を見学に行きたいと思っています。
 交通手段としては電車やバスはあるけど、自分で車いすをこいで行けないので、タクシーか介護タクシーになってしまいます。昔、タクシーで車いすをトランクに乗せるのに500円かかると言われたことがあり、びっくりしました。

☆都会と地方の違い

 都会では、電車やバスが遅れてもすぐに次が来て乗ることができるし、駅などにタクシーが止まっていたり、介護タクシーも台数が多かったりしますが、地方だと、篠山でもまだバスがノンステップやワンステップがなく利用できないです。
 他にも、都会は人がたくさんいる分、困った時に声をかけると誰かが振り向いて助けてくれる率が高いけど、地方だと声をかけたくても周りに人がいなかったりします。でも逆に声をかけていなくても寄ってきて「手伝おうか?」と言ってくることがあって、極端です。

☆『とっておきの音楽祭』に募集したら・・・

 障害を持つ人と持たない人が一緒に音楽を楽しむという企画の音楽祭で詩を応募しました。
 詩を書くことは難しいけど、不便なことや言いにくいこと、自分の気持ちなどを素直に伝えるように心掛けて、出来上がりを見てみると柔らかく聞こえます。それが良いなって思って、昔から書いていました。
 友人で、今回の詩に曲を付けてくれた石田裕之さんという人がいます。石田さんの歌が好きで、ライブやSNSを通して繋がったことで、自分の詩を歌にしてもらいました。この事が地元の新聞に載ったのですが、小さい記事だと思っていたら1ページ載っていて、びっくりしています。
 今はYouTubeで聞くことができます。
「いしだひろゆき 救いの神様」で検索したら出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=2mx4ndJwcSs

    

 地方といっても篠山市は近くなのに、交通手段やサービス利用の現状を聞いて、地方と都会の差を感じました。早く差がなくなってもらいたいと思いました。
(瀧本)


羽の生えた犬のまち 「筑後」 の事情

 私が今回訪れたのは、福岡県筑後市にある、自立生活センターちくご(以下:ちくご)です。最寄りの駅である羽犬塚駅に到着して、まず目に飛び込んできたのは珍しい姿をした犬の像でした。その名も「羽犬の像」。なるほど、羽犬塚の地名はこの羽犬からきているわけですね。筑後市の町並みはどこか懐かしさを感じさせるいい雰囲気です。筑後にある自立支援センターにはどんな人たちがいるのだろう、豊中と比べてどんな地域の違いがあるのだろうと、取材前から鼻息を荒くし、ちくごへ向かいました。

●大改築にびっくり!湊秀子さん

 まず、ちくごの代表をしておられる湊秀子さんにお話を伺いました。
 湊さんは1976年に結婚され、現在の家に住むようになりました。家の周りはとても落ち着く田園風景が広がっています。私が中へ入り、驚いたのは玄関のスロープ。これがコンクリートで作られていて、すごくしっかりとした大きなものなんです。ふと横を向くと、さらにびっくり!なんと、トイレやお風呂が床に埋まっているのです。この家はもともと旦那さんの実家だそうで、湊さんが嫁がれた際に、旦那さんが大改築をしたそうです。

その時代は今のような制度はなく、ヘルパーも家庭奉仕員派遣制度というものしかありませんでした。派遣時間は週8時間、一日4時間と決まっていました。つまり週に二日しか来てもらえないのです。湊さんも今よりは動けていたとはいえ、これでは生活が出来ません。なんとか交渉して一日2時間、週4日来てもらえるようになりました。もちろん奉仕員は無料というわけもなく、当時のお金で時給600円ほど支払っていたと振り返っていました。やはりお話を聞いていると、この時代の自立生活の難しさを改めて感じました。
 では、今の暮らしはどうなのでしょうか。ヘルパー以外の社会資源では、ちくごの福祉有償輸送サービス『サルク』を通勤利用しています。移動手段は車が多くなるらしく、公共交通機関はほとんど使わないそうです。そして支給量は移動も含め、月165時間が認められており、これは昔と比べれば確かに増えているのですが、まだまだ生活するのに充分な時間数は認められないといいます。社会資源において、地域の格差を感じることがあるかお尋ねすると、「都会の人が羨ましい」と言われました。それはやはり、支給量の格差が一番大きいそうです。とはいえ、豊中市でもまだまだ一日24時間(月744時間)の時間数は降りていないところ、筑後市では24時間が認められたケースがあります。それは、昨年度までちくごの代表を勤めていた故・日高恵美さんです。日高さんは弁護士と一緒に交渉を重ねて、744時間を勝ち取りました。都会ではない筑後市で、744時間が出たことは画期的でしたが、日高さんに続く人はいませんでした。前例があるにも関わらず、現在筑後市で重度の方が自立生活をはじめても、認められるのは300時間程度と非常に厳しいものがあります。新規の人はなかなか認めてもらえない流れがあるのです。これがもっと認められれば、筑後市内の当事者は自立がしやすくなるのに、これは行政が縮小したがっているからだと、今の筑後市の課題と危機として湊さんは真剣なまなざしで話していました。

●自立生活歴45年の大ベテラン!阿志賀俊範さん

 続いてお話を伺ったのは阿志賀俊範さんです。阿志賀さんはとても穏やかで、取材中はずっと幸せそうな笑顔で答えて下さいました。
 趣味が短歌である阿志賀さんは日々詠んだ短歌をパソコンに書き留めているそうです。今までに書き留めた短歌の数は500作を超えているとか!他にも音楽が好きで、『サルク』を利用してコンサートにもよく行かれるようです。
 阿志賀さんは45年前、入居施設から地域生活へ移りました。その頃の施設での生活は環境が悪く、職員は「障害者を世話してやってる」という気持ちが一杯で、みんな我慢していたと当時を振り返っていました。「今は施設も良くなり、昔と比べると快適に暮らしていけるので、みんな、なかなか出たがらないんだ。だけど施設は飽くまでも施設であり、筑後市を障害者が気軽に住める町にしたい」と阿志賀さんは強く話していました。
 地域の格差を感じるのは、バリアフリーと補装具の申請だそうです。阿志賀さん自身、車椅子の座位保持とリクライニング両方の申請が認められず、交渉に2年もかかったといいます。ようやく認められた背景として、ちょうどその頃に筑後市で行われていた補装具(電動車椅子)費支給申請却下処分の取消等を求める裁判がありました。補装具申請の判断は県の裁量次第で左右されることがあるようで、この判決が阿志賀さんの申請に影響したのかもしれません。

●ちくごを築き上げてきたお方!東聖二さん

 最後に取材させていただいたのは東聖二さんです。東さんは取材の打ち合わせで丁寧に対応して下さり、移動の車など、色々とお気遣いいただきました。
 地域格差については、東さんも支給量の違いが大きいといいます。筑後市だと時間数が足りない人が、福岡市に行くと必要な時間数が支給され、地域生活が出来ることがあるようです。交通手段での悩みは、JR以外の公共交通機関がバスくらいしかなく、そのうち、低床のスロープ付きバスは数台しか走っていません。そのため、事前に営業所へ電話をして、その日のダイヤを聞く必要があり、自由にバスが使えず、どうしても外へ出にくい現実があるといいます。また、地方では都会で使われていた中古のバスで運行されていることが多く、なかなか新しいバスも導入されません。このような背景を考えれば、地方にこそ良い設備があるバスの導入が必要だと思いますが、厳しい現実がそこにあります。
 ちくごでは、福祉有償輸送サービス『サルク』で4台の車を回しています。やはり地方での当事者の移動は、こういったサービスがメインとなってくるわけですね。ちくごの活動としては、小学校で講演をしたり、幼稚園でボッチャという球技をやったり、社協と連携して子供達に向けて車椅子体験をしたりしているそうです。地域との繋がりが強いのですね。こういった繋がりは、都会よりも作りやすいものがあるのかもしれません。

 今回、ちくごの3名からお話を聞きましたが、共通に持っておられる課題は、次を継ぐ人が育っていないということでした。やはり、支給量等の問題で地域移行が進まず、若い人は施設を出ても都会へ流れるという現状があります。そんな中、ちくごに特別支援学校から実習として来ていた人が、卒業後、スタッフとして勤務しているそうです。現在21歳で、みんな何とか一人前のスタッフとして根付かせたいのだとか。自立生活センターとしての課題という面だけで見れば、全国的に共通しているのかもしれません。しかし、当事者が生きていく上で、地域による格差というのは減らしていかなければ、と思いました。今回取材をした筑後は、町も人も本当にいいと思います。筑後市がどんどん活性化していくことを切に願います。
(担当:大岩)


まだこれからの徳島ですが、頑張ります!

 徳島市にお住まいの内田さんを訪ねてきました。高速バスで大阪梅田から3時間ほど。途中、淡路島を走行中、車窓から渦潮らしきものが少し見えました。バスから見た徳島市のメイン通りは歩道もとても整備されていて、「車いすで動きやすい町なのかな」と思ったのですが・・・・・。

内田さん(右)。地元の観光案内図をバックに。

★ヘルパーを探すのも、やっとの思い。

 内田さんは、【徳島県初のCILを立ち上げよう】と頑張っている、筋ジストロフィーの30代女性です。人工呼吸器を常時装着しており、24時間ヘルパー付きでの一人暮らしをしていますが、特に外出時は安全上2人介護が必要な中で、充分にカバーは出来ていません。自立を志してから今の状態になるまでは1年半かかり、最初の半年ぐらいは主に実家に居て、その後半年間で、ヘルパーの集まり具合を見ながら一人暮らしに移行していきました。今入れるヘルパーは6名いますが、常時2人介護が無理な分、社会活動のための外出を控えたり、比較的軽い1人介護の体制を組んだりしています。

★ヘルパー時間数は徳島県で最高ですが・・・・・。

 今出ている時間数は、重度訪問介護で月868時間(内訳は24h×31日=744時間+2人介護分124時間)です。県内では今のところ最高なのですが、本来は月1,070時間(上記744時間+2人介護分326時間)必要であることを考えると、何とか工面してギリギリというのが実態です。最初の交渉では1,070時間を申請したのですが全く通らず、日中2人介護という訴えも退けられました。CILを立ち上げる上での活動のためにも、今後交渉を続けなくてはなりません。徳島は事業所もヘルパーも数が少なく、吸引など、医療的ケア対応の事業所を探すとなると本当に至難の業です。行政は「該当利用者があまりいない」と言いますが、当人から声が出ていないだけで、実際はニーズがあると思います。制度上は事業所を自由に選べる筈ですが、内田さん曰く「私は選べませんね」。

★「健常者でも鉄道は使わない」。車社会の実態

 徳島は本当に車社会で、健常者でも鉄道を使うという発想は、あまりありません。そのため駅は無人化され、本数も削減されています。仮に車いすの人が鉄道に乗っても、降りる駅が無人で全くバリアフリーではないから、結局は乗れないのです。また、列車のドアも手動だったり・・・・・。
 バスは本数自体が1時間に1本あればいいほうで、市民もあまり利用と縁がありません。

取材者は路線バスを利用しましたが・・・・。

では介護タクシーは?というと、介護派遣事業所がタクシーの運営を兼業するなど、少しずつ増えてはいます。ただ、内田さんのようなリクライニング式の車いすが乗れるタクシーが少なく、助成制度を使っても割高になります。体力の消耗や効率面を考慮すると、移動手段は専ら車(福祉事業所の移送サービス)となっています。ちなみに歩道は、メインの通りこそ整備されてきたものの、一本裏に入れば、全然整備が行き届いていない道が多いということです。内田さんは昨年、日本一の大都会、東京に行きましたが、そこで駅に普通にエレベーターやスロープがあるなど、ハード面での街の設備の違いに、徳島との差を痛感しました。

★当事者仲間よ、もっと自己アピールを!!

 「私がもし徳島に来たら、家の中に閉じこもるしかないかも・・・・・」。
 豊中から初めて訪れた私はそう感じました。『障害者は家族介護が当たり前で、家族が出来なくなれば施設入所しかなく、ヘルパー制度を利用して自立しようという空気はない』、これが徳島の現状です。サービス等利用計画作成のアセスメントにしても、内田さんが見る限りは『現状で出来る範囲内に収めて終わり』となっています。『まず、当事者一人一人が声を上げてほしい。自己アピールをしていって、行政に自らニーズを訴えてほしい。インターネットなどを駆使して、自分で情報も調べてほしい。諦めないでほしい』、内田さんはそう語っていました。在宅や医療的ケアについての課題提起や事業所間の連携など、色々なことがまだ始まったばかり。これから内田さんの地道な活動が大きな輪となり、徳島初のCIL結成が実現することを祈念しています。
(担当:塚原)

───────────────────────────────────

おわりに

 今回5人の方にご協力頂きましたが、事業所数・ヘルパー数の少なさや、都市部との時間数の格差といった厳しい現実の中、毎日を生きていました。一方で地方ならではの良さも窺えたり、どんな地域でも共通と感じる課題があったりしました。これからも『思い聴き隊』は、彼方へも取材に出向きますよ。

この記事の最初に戻る      もくじに戻る


2. 重症心身障害児(者)多機能型通所事業所
  『ボーイズ&ガールズ』リニューアル開所します

事務局

 障害児通所支援「ボーイズ&ガールズ」は、平成29年4月から重症心身障害児(者)多機能型通所事業所として再出発いたします。年齢の垣根を超えたサービス、送迎サービスの開始、リハビリ担当職員の配置など、新たな内容の充実に努めてまいります。今後とも変わらぬご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。

【内容】
放課後等デイサービス(重心中心)・児童発達支援(重心中心)+生活介護(重心中心)の多機能型通所事業所です。障害児(者)に対する療育・介護・支援を行います。
【利用対象者】
@重症心身障害児(者)
 ※療育手帳Aと身体障害者手帳1又は2級を併せ持つ人
A@に該当しない医療的ケアが必要な重度障害児(者)
【サービス提供範囲】 豊中市及び近隣
【利用定員】 一日8名
【利用日】 月・火・水・金・土
【利用時間】 10:45〜15:30(生活介護) 11:30〜17:00(放課後等+児童発達)
【休み】 木・日・祝・年末年始(12/29〜1/3)
【入浴】 電動昇降型ストレッチャーで入浴します。入浴は1日4人まで。
【送迎】 豊中市内及び事業所から半径7q以内(左記を超える送迎は応相談)
【利用料】 児童福祉法・障害者総合支援法に基づく負担(月額上限有)
      入浴一回200円、教材費・行事費は別途実費負担
【スタッフ体制】
 管理者兼児童発達支援管理責任者兼サービス管理責任者  1名
 リハビリ担当職員  1名
 保育士(児童指導員)兼生活支援員  3名
 看護職員  3名
 送迎ドライバー兼補助員  2名
 医師  嘱託1名
(徳山)

もくじに戻る


3. Let's こみゅ力! 〜2016年度ILP講座報告〜

事務局

 今年度のILP(自立生活プログラム)講座は、『Let's こみゅ力!』というテーマで開催しました。全日程4日間で、4名の方が受講されました。

1日目:10月15日【他己紹介、先輩の話を聞こう】

 先ずは受講生が二人ペアに分かれ、こちらが用意したお題に従って自己紹介をしました。その後他己紹介を行い、これは先程自己紹介でペアが話していた内容を各自発表するというものでしたが、これで初対面の受講生同士、緊張がほぐれました。そうなったところで先輩の話を聞ました。講師を務めてくれたのは、当センター職員の瀧本と、箕面市障害者事業団の田浩志さんです。

・瀧本の話:  
 私は丁度2年前の今日、地元箕面市内で一人暮らしを開始しました。高校を卒業してから茨木で就職し、オペレーターの仕事をしたあと、今の職場(当センター)で働き始めました。今の仕事を通じて、「自分も親がいなくなったらどうするんだろう?家庭を持っている兄弟の世話になる訳にはいかない」と思ったのが、一人暮らしをする切っ掛けでした。1年掛けて貯蓄と物件探しを行い、今はヘルパーを使って暮らしています。友達も私の住まいに関心を持ち、家に呼んでワイワイやったり、付き合いはよくやっています。私は、婚活パーティーにも参加したことがあります。いろんなテーマがあるのですが、【障害のある人&理解者】というテーマの時に、参加してきました。
 
・田浩志さんの話:
 重度の言語障害があるので、音声が出るパソコンを使って話をします。私は箕面で、事業団のお店である『アートショップ、グリーンるうぷ』の店長をしています。一人暮らしを決めた切っ掛けは、兄の結婚と両親の高齢化です。自立生活をするには、両親の同意や介助者育成など、複数の課題がありましたが、自分の意思を要約して伝え、一つ一つの課題をクリアしてきました。新しいことを始めるために必要な変化を受け入れ、新しい選択肢を自分でつくるという思考を持った結果、こんにちまで約7年の一人暮らしが続いていると思っています。思考は無限の可能性を持つ私です。
 お二人の話に対して、受講生からの質疑応答も盛り上がりました。

2日目:10月29日【料理対決】

 今年度ILP講座のメインであった料理対決では、以下のルールを設定しました。
 受講生は全員、ヘルパー役となる初対面の人とペアを組みます。そして買い物・調理などの全行程、自分で出来ることも含め、ヘルパーに指示を出して、やってもらうようにしました。当日会ったばかりの人に意思を伝える体験をしたことで、『こみゅ力』のアップにつながればと思っています。皆、限られた時間と予算の中で大変おいしい料理を完成させ、各自全部の料理を試食したあと、どれが一番おいしかったかを投票して優勝者を決めました。

3日目:11月12日【座学、コミュニケーションゲーム】

 前半は講義形式で、人権や障害者運動、そして制度の種類や使い方について勉強しました。後半はゲームを行いました。内容は、全体を2チームに分け、それぞれコミュニケーションにまつわるエピソードを4つ紹介しますが、1つはウソで、それを言い当てるというものです。結果は両者敗退でした(笑)。

4日目:11月19日【振り返りと交流会】

 受講生に全行程を振り返ってもらい、次の言葉が聞かれました。「日頃からヘルパーに言葉で意思を伝える難しさを感じている。これからも日々勉強」、「障害があるが故か、人に対して怖がったり、伝える勇気をなかなか持てない面がある」、「料理大会のときは、予算と時間の都合でメニューを変えた。正直、ヘルパー役の人に助けてもらった」。後半は茶話会で盛り上がりました。

★☆受講生からの感想☆★

 「障害者と出会う場がないので、楽しかった」:「先輩の体験談を通じて、いろいろと自立するために大変な苦労をされていると思った」:「3日目にアメリカの大規模入所施設のスライドを見たが、あれの日本版もあったら見てみたい」:「若い当事者に、過去の障害者運動があったからこそ今がある、というのを伝えたい」:「知らないことが多かったので、参加出来て良かった」

───────────────────────────────────

 今回は色々新しい企画を盛り込み、主催者にとっても挑戦のILP講座となりました。それ故、反省点も多く出ましたが、これを糧に、スタッフも一層【こみゅ力】に磨きをかけて、次回に臨みたいと思います。
(担当:根箭)

自立支援センター主催講座に戻る      もくじに戻る


4. ハロウィーンじゃないよ!! クリスマスパーティー 2016

事務局

 2016年12月18日(日)、障害福祉センターひまわりで、今年も盛大に開催しました、CIL豊中主催クリスマスパーティー!!毎年楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。私は非常に楽しみでした。ではさっそく振り返ってみましょう!

会場の雰囲気

 昨年からスタッフのコスプレが目立っていましたが、今年はさらに多かったのです!もちろん多いだけではなく、クオリティも上がっていますよ。実はこれ、今年から始めた新しい企画のためなのです!

オープニングライブ

 オープニングライブは出川雅彦さんでした。出川さんのオリジナル曲がめちゃくちゃ面白いのです。『ある虫の歌』ではみんな苦手な"あの"虫を歌っていました!もちろんクリスマスソングもたくさん歌っていただきました。こちらもすごく良いのです。この歌唱力にあの作詞力は最強ですね。会場のみなさんも聴き入っていました。

大道芸

 続いて、ジャグラーGTさんの登場です。【広げよう!ジャグリングの輪】をスローガンに活動されているそうです。さすがにその腕前はすごいです!立つだけでも難しい台の上でバランスをとりながらジャグリングをいとも簡単にやってのけるのです。2016年だし、言わせて下さい。まさに「神ってる」!!!!!

コスプレファッションショー

 休憩のあと、いつもならビンゴゲームですが、今年は新しい試みを行いました。これは参加型の企画で〈コスプレをして、みんなに見てもらおう!〉という至ってシンプルなもの。だから今年はコスプレをしたスタッフがすごく多かったのです。コスプレってやってみると意外に楽しいのです。今回は『ピコ太郎』のオネエ版、『ピコ次郎』も登場。さらには『ネヤ太郎』まで?!参加されたみなさん、とても楽しそうでした。もちろん、ファッションショーに参加されなかった人達にもお楽しみはあります。簡単なくじ引きゲームで景品がもらえちゃうのです。これはビンゴの良い名残ですね!

エアロビクス

 続いてのプログラムは松代和子さんと森口さとみさんによるエアロビクスです。こちらは2年前、大好評だったもので、今年もみなさんノリノリで身体を動かしていました。実はここでもピコ次郎が参入!「どんだけー!」

ボーイズ&ガールズ

 児童ディサービス ボーイズ&ガールズによる演し物では、『ミッキーマウスマーチ』、『あわてんぼうのサンタクロース』、『となりのトトロ』と可愛い三曲を演奏していただきました。演出にもこだわっていて、曲に合わせてクリスマスツリーが登場しました!

職員によるダンス

 今年の職員有志による演し物はダンスです。『手話ダンス』に『ポッキーダンス』、さらには『恋ダンス』まで!みんな練習の成果が出ていて、すごく見応えがありました。恋ダンスではアンコールもあって、最後は会場のみなさんと踊ることができて、最高のクライマックスになりました。

サンタさんからのプレゼント

 いよいよプレゼント交換の時間です。この時間になるとクリスマスパーティーもそろそろ終わりの時間。なんだか寂しいような…いや、プレゼントがもらえるからやっぱしうれしー!!!


さいごに


 さて、2016年のクリスマスパーティーはいかがだったでしょうか。参加して下さったみなさんに少しでも楽しんでもらえるように、これからも、より良いものにしていきたいと思っています。定員の都合で今年参加できなかった方も、来年はさらに楽しいクリスマスパーティーを企画しますので、ご参加お待ちしています!!ありがとうございました。
(担当:大岩)

こちらのページでも、クリスマスパーティーの報告を公開しています。

もくじに戻る


5. 2016年度ヘルパー現任者研修報告

事務局

 ヘルパーステーションCIL豊中、2016年度ヘルパー現任者研修『障害者差別や虐待を防止するために』〜障害者虐待事例から考える支援のあり方〜を、10月18日(火)とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ内「すてっぷホール」で行いました。講師として社会福祉士(公益社団法人大阪社会福祉士会)の関川雅世さんに来ていただきました。
 虐待は障害者の尊厳を傷つける許されない行為です。また障害者の自立や社会参加をすすめるためにも虐待を防止することが非常に重要です。こうしたことから、「障害者虐待防止法」が平成24年10月から施行されました。本研修は、同法の基本的な理解を深めるとともに、虐待事例を踏まえながら、虐待を未然に防ぐため、従事者に求められる役割や責務、支援のあり方、障害者の権利擁護について、あらためて考える機会として企画しました。
 講演は先ず、障害者基本法改正や国連総会での障害者権利条約の採択など障害者虐待防止法までの流れ、障害者の権利利益の擁護に役立てることを目的とすると定められた同法の理念、虐待行為や対応の流れ等を詳しく解説されました。その後具体的な事例を通じて、障害者支援とは何か、障害者の権利擁護とは何か、誰のための福祉サービスなのかを自らの経験を重ねて熱く語っていただきました。
 当日、百人余りのヘルパーさんが参加し、熱心に講演を聞いていました。
(徳山)

もくじに戻る


6. 車いすでお出かけコーナー 第5弾

どんぐり

 皆さん、心ウキウキ、ピンク色の春ですよ。これからの季節、出かけやすくなりますね。さあ、皆さんはどこに行きたいですか?
 いくらバリアフリーな建物や施設が増えたからと言っても、車いすに乗っていたりハンディがあったりするとやはり不便なことも多い世の中ですよね。たとえば、観光バスや高速バスは、「車いすの方お断り」とは書いていないけれど、実質上は車いすの人が乗降するための昇降リフトなんて、ほとんどのバスにはついていず、諦める方も多いかと思います。ついでに言えば、新幹線の自由席もまた乗りにくいんです。指定席を買うと割高になってしまうし、乗り遅れでもすると結局は自由席になってしまいます。二人介護で行けば、なんとか自由席の一番最初の座席に座らせてもらえたのですが、自由席の通路が狭いので、大変でした。始発の列車でないと周りのお客さんに迷惑だし,帰省ラッシュなど混雑しているときは考えられない行為ですね。ほかの所に一人介護で行ったときは車いすの指定席のある号車の前のデッキに乗せてもらいました。でもそれも一台限りとかで、乗ろうとしている列車に先に車いすの方が乗られていたら、次に来る列車を待たなければならないのです。ヘルパーさんのことを考えたら指定席を買うべきだったと思ったのですが。
 個人的なことを言えば、7年ほど前までは、私は伝い歩きで歩けていたので新幹線の中での車いすから席への移動も観光バスなどの階段も苦にもならず、それほど不便さを感じずに来たのですが、常時車いすの身の上になると、不便なこと多数。もうどこにも行けないのかとも最初は悲しく思いました。
 でも去年は思い切って徳島へ高速バスで行ってみたり、7年間行きたくてうずうずしていたある団体のバスツアーに参加してみたり、私用で、田舎の実家に帰ったりしていました。動けなくなった分、いろいろな人を巻き込んで、人のやさしさを発見できた楽しい旅でした。
 そこで私は思ったんです。「新幹線の自由席や観光バス、高速バスを利用していかんと何も変わらないだろう」と。利用があればあるほど、新幹線やバスに、堂々と車いすの人でも乗れるようになるはずです。皆さんも最初から無理だとは思わないで行きたいところに、出ていきましょう。きっといろいろな発見があるでしょうから・・・・・。
 もし、よかったら、皆さんの行ってきたところを、私に教えてください、ね。

もくじに戻る


7. 「相模原事件を考える」障害者自立セミナー参加報告
   講師:立岩真也(立命館大学教授)

事務局

 2016年12月11日、たかつガーデン(大阪市天王寺区)で、障大連(障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議)主催の『大阪障害者自立セミナー2016』が開催されました。約350名の参加者の熱気が、会場に満ちていました。ここでは、午前の全体会議で行われた講演で立岩真也氏が問題提起された事と、私自身が考えた事を織り交ぜて報告します。
 2016年7月26日に、相模原市の障害者支援施設で起きた元職員による殺傷事件は、社会に大きな衝撃となって受け止められました。容疑者は当該施設の元職員であり、犯行動機については「障害者は不幸だから死んだほうが本人のためである」「全人類のため(社会のため)に必要である」と供述した、と報道されています。容疑者は障害者を生きる価値のない命であり、障害者が生きるために費やされる公金は無駄であると主張しています。そして「障害児の親が、子どもを安楽死させることが出来る社会の実現」を訴えています(衆議院議長宛の手紙より)。容疑者の元職員は、『優生思想』を持って今回の犯行に及んだのです。

優生思想と能力主義が生命を脅かす

 立岩氏は、犯行動機の「不幸だから…」に対して、障害当事者の楽しそうにいきいきとした表情を映し出すマスコミ報道の中で、「障害があっても」とか「障害者でも」という言われ方をされることに違和感を示されました。
 立岩氏は、「障害は不幸だから…」を否定する意図で使われる「障害があっても」という言い回しは、一つの方法として理解できるが、障害当事者自らが同じ言い回しを受け入れている場面に出会う時、『優生思想』を障害当事者自身の中に見るようで辛いことだ、と指摘されました。
 そして、「出来る者は評価され、成果を上げることが善である」とする『能力主義』『成果主義』が、「能力の無い、成果を上げることが出来ない」障害者を差別し社会から排除する、それが『正義』とされる現代社会では、障害者は居場所を奪われ生命を脅かされ続ける、その事が今回の事件によって改めて示された、と解説されました。

相模原事件を期に、地域移行を後退、あるいは逆行させないために

 ところで、この元職員が事件前に「措置入院」をしていた事実から、「精神障害」に関する偏見・差別が、助長されるとの懸念も生まれました。
 立岩氏は、厚生労働省(厚労省)が設置した「事件の検証及び再発防止対策チーム」がまとめた報告書が、精神科医療の「措置入院制度」の見直しに力点をおいて、当該施設の障害者に対する対応と運営のあり方や、事件経過に於ける警察の対応について検証されていないことに言及し、「これでは、自傷他害を理由に予防的な拘束を促進しかねない」と指摘しました。
 立岩氏は、「施設や病院に何十年間も何十万人という障害者が収容されていること自体が差別であり、その人達が地域で暮らすことは可能であり、地域へ帰るための取り組みをすべきである事、そしてそれは障害当事者にも地域生活支援をする人にも大事であり、また楽しい事である」と強調されました。  
 また、能力主義や優生思想の理屈に対して、「出来る出来ない」「幸不幸関係なく同じ一つの生命である」と主張することを提起した上で、事件後数日内に各当事者団体支援団体等から、「優生主義」に抗議し「優生思想」が根強くある事への懸念と、「障害者差別」に反対する声明や宣言が相次いで表明されたことは、「障害者解放運動」が産んだ成果であると評価されました。

「障害者解放運動」の歴史に学び、体験を共有しよう

 1970年神奈川県横浜市で、知的障害のあるわが子を殺した親に対する裁判で、「重度知的障害者殺し減刑運動」が起きました。当時の「神奈川県心身障害児父母の会連盟」によって進められた運動では、「施設も家庭療育の指導もなく、生存権を否定されている障害者を殺すのはやむを得ざる成り行きであり、福祉行政の貧困に強く抗議するとともに、重症児対策のすみやかなる確立を求める」と主張しました。これが裁判で受け入れられて「無罪」にでもなれば、障害者は親にいつ殺されても文句も言えない事になる、その危機感から「日本脳性マヒ者協会・青い芝の会神奈川県連合会」の名で、「CP児減刑問題に関する意見書」がまとめられ、各方面へ出して「殺すな、差別を止めろ」と主張し、地域で障害者が当たり前に暮らす基盤の構築を、今日に至るまで目指してきました。その取り組みが日本政府を「障害者権利条約の批准」に導き、「障害者差別解消法」を作らせるところまで来ました。それだけで無く、施設から地域へ生活基盤を移す取り組みが、曲がりなりにも進みつつあるのも、1970年以降の「障害者解放運動」が無ければ、形にならなかったでしょう。
 立岩氏は、このような「青い芝の会」の運動体験(歴史)を知らない若い当事者が、増えていることに触れ、当時の運動の体験者と交流し、障害当事者による「解放運動」を追体験して運動を広げるよう提言され講演を締めくくりました。
                             
参考文献 河野秀忠「障害者市民ものがたり」NHK出版生活人新書
(担当:大東)

もくじに戻る


みなさんからの、投稿コーナー

 このコーナーでは、みなさんからの作文・詩・短歌・俳句・小説など、投稿作品をご紹介しています。
 作品は随時募集しておりますので、投稿されたい方は、編集部までどしどし投稿して下さい。
 なお、作品数が多くなった場合は、繰り越しで2号先の広報誌に掲載する場合もあります。作品の内容によって考慮は致しますが(季節がテーマの場合など)、あらかじめご了承下さい。

 みなさまの投稿を、お待ちしています。













8.短歌

えらばれて
障がい持ち
産れ来て
我の決めたる
この道を生く

伊丹市 岩國久美子


淋しがる
子らを残して
休日の
仕事へ赴く
朝の辛さよ

箕面市 吉村史生


独り身の
我を気遣い
春日和
車いす押す
友の温もり
「美系のヘルパーと散歩した喜びを詠みました」

筑後市 阿志賀俊範


9.ねや散歩 Part.3

ねやたろう

 今年(2017年)3月31日限りで、阪急電車や地下鉄に乗るときに便利だった、ラガールカードが廃止になる。キップを買わなくても、直接改札口へ通すだけで、JRを除くほぼ全ての関西の鉄道を乗り降り出来るラガールカードは、私も長年重宝してきた。『ラガール』というのは、厳密には阪急電鉄が発行しているカードの愛称で、各鉄道会社ごとに独自の愛称を付けて発行されていた。例えば北大阪急行ならレジオンカード、大阪市営地下鉄ならレインボーカード、大阪モノレールならモノカード、京阪ならKカードといった具合に・・・・。総称は『スルッとKANSAI対応共通カード』。まあこの辺は細かい話かも知れないが、とにかく4月からこの共通カードは無くなるのである。では、ICカードを持たない限り、これからは現金でしか乗れなくなるのだろうか?
 阪急電鉄公式サイトによると、阪急・阪神・能勢電・北大阪急行の4社を利用出来る新しい共通カードが、4月から発行開始される。だからこの4社に限っては、今まで通り一枚のカードでスルー乗車出来るのだが、ラガール愛用派にとって問題なのは、地下鉄とモノレールが含まれていないことだろう。
 よく「千里中央から梅田まで電車で行く」と言うが、大抵の人は知っていると思うけど、江坂までは北大阪急行電鉄で、江坂から先が大阪市営地下鉄である。だから、千里中央の改札口を共通カードで入ったとしても、そのカードは3つ目の駅である江坂までしか有効ではない。また、阪急とモノレールの乗り継ぎも出来なくなり、「不便だなぁ」とは思うのだが、スルッとKANSAI共通カードが無くなる理由が『ICカードへの切り替えによる利用者数の減少』だから、時代の流れというか、仕方のない話ではある。
 4月からの新しいカードは、【阪急 阪神 能勢 北急レールウェイカード】という名前で(長っ!)、通称は【レールウェイカード】なんだとか。ちなみに、少なくとも地下鉄とモノレールについては、来年(2018年)1月31日までは、既に購入済みのラガールカードにて、改札口を通ることが出来るということだ。
 取り敢えず一度はレールウェイカードを購入してみるが、阪急⇔モノレール⇔地下鉄の乗換えも頻繁この上ない私。世が世ならICカードといくかな・・・・?



10.
ぼくの日曜日

海帰 優人(うみき まさと)

近況報告

 年末に「あったか下着」のバージョンアップした商品を手に入れる。あの大手量販店だから、驚くほど安かった。ヨドバシカメラにある店舗だったので、不規則な客の流れをすり抜けながら買い物をすませた。苦労して手に入れた甲斐があって、特別に寒い日でもその下着の上にトレーナーを2枚重ねれば、汗ばんでくるほど温かい。硬直してしまう手足を持つぼくにとっては、着替えはかなり面倒くさい日常の一コマなので、真冬でもできるだけ薄着で過ごしたい。天気予報をチェックしつつ、冬将軍が到来する日には必ず登場させることにしている。
 さて、還暦が近づいてきたというのに体調はすこぶる良好で、肩こりやぎっくり腰なども全く起こらないし、時々夜遅くにお饅頭をほおばったりもするのに血液検査に異常は見られない。
 ぼくの人生に大きな影響を与えたミュージシャンが、白血病で闘病生活に入った。聴きに行く予定にしていたライブがキャンセルになり、その後をネットで調べてわかった。それぞれにそれなりの年齢になって、ライブが聴きに行けなくなることを案じながら、できる限り足を運ぶことを決めていた矢先だけに、とてもショックが大きい。復帰されることを祈るしかない。
 ここしばらく休んでいた「美味しい店」探しを再開した。そこですごい居酒屋と出逢う。実は、ここ2,3年ほど新規開拓をしようとすると「車いすであること」を理由に断られることが多くなり、億劫になる気持ちからお馴染の店にしか顔を出さないようになっていた。
 阪急宝塚線は、庄内駅を梅田へ向かって過ぎると高架になる。その西側の道路沿いに古びた居酒屋がある。実は、ここはただの居酒屋ではない。ちょっと勿体ぶりたくなったので、どう「すごい」かは次回にとっておくことにする。店の名も明かさずにおく。
 先日、名古屋からの研修の帰り、梅田から阪急に乗った瞬間、安堵のため息が一つ出た。これまで遠出した中で、初めての感覚だった。そういえば、仕事場の帰り道に近所のコンビニの前を通るとほっとした気持ちになる。半年ぐらい前からだろうか?
 ぼくもおよそ20年かけて「豊中の人」になったのだろうか。でも、人生を終えるときは山を眺める窓辺にいたい。ずいぶん先のことだろうけれど…。



11.
どんぐりのひとりごと

どんぐり



 どんぐりも、歳を取りました。10年ぐらい前は台所仕事を半分ほどできていて、お風呂もトイレも介助なしでよかったのに…。もっと前は歩けていて、宝塚の鳳蘭様を追っかけてケーキなどお菓子作りが趣味の少女だったのにって思うけれど、これって自然の経緯なのでしょうね。子どもが大人になっていくように、大人は歳を取っていくのです。もっと言うならいろいろなところに衰えを感じる、ある意味非常に悔しいのですが仕方ないことです。
 去年の秋、後援会のイベントに久しぶりに参加して、私の娘〈小さい時はイベントや劇場に連れて行ってたので〉の歳のことを鳳蘭様から尋ねられ、二十歳を超えていることを話すと驚かれ、『我々は歳取るばっかりだよね!』と言われていました。
 でも、それは今生きてるからこそ言えることで、人生その時その時で喜怒哀楽いろいろなことに出会いながら、その人なりに一生懸命生きて、最後は燃え尽きてしまうのです。
 先日父が亡くなりました。89歳でした。勤勉で国家資格をいくつも取り、70歳まで働きました。最後の5年は大病に苦しみながら、家族のことを思ってくれていたようです。戦前の家長のような存在で、父の言うことは家の中では絶対でした。よく反抗した悪い娘でしたが、それでも意志固くやってみようとすると、一番の協力者で応援してくれた優しい父でした。父は私にとって大きい存在で、絶対にいなくならない存在。そんな父ですが、実家に帰っても、もうどこにも姿はありません。嘘みたいですけどね。でも本人にとっては、楽になったのかもしれません。
 人は、いつかは死ぬんですよねえ。そのことを再確認しました。だから今できることを精一杯しなければならない。だんだん歳取って生きることが苦痛に思うこともあるんですが、その分うれしいと、歳取った今だから言えることもあるはずです。明るく楽しくがんばりましょうね。



12.
哲珍の部屋

上田哲郎

 神奈川で起きた事件を通して、いろんな方々が文章を書かれてますので、私が感じた事を書かせてもらいます。
 この事件を考えると、どうしてもホロコーストの事が頭の中に浮かんでしまいます。以前にもこの事は書いたような気がしますが、もう少しだけ掘り下げて書かしてもらいます。ホロコーストとは、一般的に「ユダヤ人の大虐殺」等と呼ばれたナチス・ドイツによる600万人もの、ユダヤ人及びジプシーやポーランド人やロシア人等の命が奪われるという非情な惨劇であることは、みなさんご存知かと思います。
 しかし、ユダヤ人より先に障害者が殺された事実はみなさんあまり知らないと思います。そもそもガス室は障害者向けに作られたものだったようで、当時のドイツ国内では、医師、看護師、助産師が障害児者をガス室に送る事に手を貸していたそうです。まずは幼児を、それから順に青少年まで。更に、ドイツに占領された東欧やロシア等での地域では警察や軍隊が直接出向いて殺していました。全ては負担軽減という程で。
 前の戦争で敗戦国となったドイツは膨大な賠償金の支弁で、経済は大打撃を受けました。国民の負担も増すばかりで、余裕もなく不満も募り、誰かに当たりたくなると、その矛先が弱者に向けられます。生産性もなく無用だと思われ、「生きるに値しない命」と言われた障害者の命。過去からたくさんの事を学ばなければなりません。

 1月26日に横浜で開催された、『津久井やまゆり園事件を考える1.26神奈川集会』に足を運び、追悼と傾聴をしてきました。講演した学識者が、元職員が衆議院議長にあてた手紙について、「保護者の疲れ切った表情、施設職員の生気にかけた瞳・・、車イスに縛られて気の毒な利用者も多く存在し、保護者が絶縁状態にある事も珍しくありません」という内容を紹介しました。そして、「日本だからこのようになる」、「国民負担率・寝たきり老人・特養待機者というような言葉も日本独特の言葉だ」、「ドイツのホロコーストも神奈川で起きた事件も共通点は『負担』である」と述べられました。
 
 「生きるに値しない命」と言われた障害者の命。時が経った今でも『保護者が絶縁状態』、『車イスに縛られて気の毒な利用者』というのが多く存在するのが現状です。
 生きるために生まれてきたんだからって、ただ単純にそう思うのですが。この一年で「命」について、より掘り下げて考えてみたいと思います。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

投稿コーナー終了


このコーナーの最初に戻る     もくじに戻る


13. CIL豊中近況

 このコーナーは、当センタ−ホームページの「CIL豊中近況」から抜粋しました。事務局のようすが少しでも分かっていただけたら嬉しく思います。

≪10月≫
2016/10/1 食べよ育てよ、ベタ
以前からウチの事務所では、番犬ならぬ番魚として(?)、熱帯魚を飼っていますが、今はベタがおりまして、最近、次世代が誕生しました。夕方頃、ぼちぼち仕事が一息ついてくると、ペットボトルを利用した水槽周りに、職員が集まる光景が見られます。

≪11月≫
2016/11/14 ILP講座、講義&ゲーム
11月12日(土)、今年度ILP講座の第3日目が行われました。今回は座学とゲームでしたが、座学では受講生は目の前に提示された資料を食い入るように見ておられました。そしてゲームでは、予想を超える盛り上がりを見せ、大変嬉しかったです。

2016/11/30 クリスマスパーティー準備
いよいよ明日から12月で、クリスマスパーティー当日まで3週間を切っています。各班とも準備の追い込みに入っており、この時期独特の空気になってきています。

≪12月≫
2016/12/17 クリスマスパーティー前日準備
いよいよ明日となったクリスマスパーティーに向けて、午後から会場で準備作業が行われました。人数も結構集まってくれたので早く終わり、その後は夜までずっとリハーサル。全体通しを2回やり、細かいチェックにも余念がありませんでした。

2016/12/28 仕事納め
今日で仕事納めです。皆さん、今年も一年間お世話になりました。支援センターでは、午前・午後とも来客・会議が行われる傍ら、少しずつ大掃除を行いました。

≪1月≫
2017/1/13 新人ドライバー
昨年末に一人、そして今月6日から一人、送迎サービスの新人ドライバーが入職しました。これからもよろしくお願いします。一方で先月限りで、9年間勤められたドライバーが退職しました。長い間、お疲れさまでした。


もくじに戻る


14. サービスのご案内

事務局

ヘルパーステーションCIL豊中
訪問看護ステーションCIL豊中

TEL06(6840)8195 FAX06(6840)8196

■障害者総合支援法介護サービス
 障害者総合支援法によるホームヘルパー、ガイドヘルパー派遣。
◇サービス提供範囲 豊中市及び近隣地域
◇サービス提供時間 24時間365日
介護保険訪問介護・介護予防訪問介護サービス  
介護保険によるホームヘルパー派遣。
◇サービス提供範囲 豊中市及び近隣地域
◇サービス提供時間 24時間365日

■介助サービス
 障害者(豊中市在住)の自立支援を目的とした、制度外サービスです。
◇介助料
 【一般介助】1時間1,200円【その他】旅行介助
  介助者にかかる交通費及び宿泊費等は利用者負担です。
◇キャンセル料 当日キャンセル半額
※条件の合う登録介助者が見つからず、御希望にそえない場合があります。

■訪問看護サービス
看護師が家庭に訪問し、在宅療養生活の支援をします。◇サービス提供範囲 豊中市及び近隣地域
◇サービス提供時間 月曜〜土曜9時〜18時


ボーイズ&ガールズ
TEL06(6843)5580 FAX06(6843)5590

■重症心身障害児(者)多機能型通所事業所(2017年4月から)
  (放課後等デイサービス・児童発達支援・生活介護)
◇サービス提供範囲 豊中市及び近隣地域
◇サービス提供時間 児童通所11:30〜17:00 生活介護10:45〜15:30
  休み:日曜・木曜、祝日、年末年始


豊中市障害者自立支援センター
TEL06(6857)3601 FAX06(6857)3602

■豊中市障害者相談支援事業(無料)
 障害者やその家族等の相談等支援をします。
◇福祉サービスの利用援助
◇社会資源を活用するための支援 ◇社会生活力を高めるための支援
◇ピアカウンセリング  ◇権利擁護   ◇専門機関の紹介

■自立生活体験室
 障害者の方が、自立生活を体験してみる部屋です(介助者の方は無料)。
◇宿泊利用 1泊1,500円 ◇デイ利用 1回(5時間まで)750円

■特定相談支援・障害児相談支援・一般相談支援(無料)
 サービス等利用計画の作成、地域移行支援、地域定着支援等。

■豊中市障害者外出支援サービス
 車いす対応車を運行し、一般交通の利用が困難な障害者の社会参加を支援。
◇利用対象者は、豊中市内に住所を有し、次のいずれかに該当する15歳以上65歳未満の人、概ね6歳以上15歳未満で車椅子使用の人、65歳以上で豊中市高齢者外出支援サービス『ほのぼの号』の対象にならない人です。
 @身体障害者手帳1・2級(下肢、体幹、視覚、内部)を所持している人。
 A療育手帳Aを所持している人。
 B腎臓機能障害で透析治療を受けている人。
 ※入院、入所中の人は利用できません。
◇利用日時 午前9時から午後5時(年末年始12/29〜1/3を除く)。
◇利用回数 月4回まで利用できます。
◇利用料 4q未満300円〜20q以上2,500円
◇利用区域
 豊中市及び隣接市(大阪市南部を除く)及び特定施設
◇キャンセル料 当日キャンセル300円(2017年4月から)

■点字名刺(送料は一律270円)
◇片面名刺印刷と点字打ち込みの場合 10枚400円
◇両面名刺印刷と点字打ち込みの場合 10枚500円
 ロゴ・イラスト又は写真入りの場合は10枚につき50円の加算となります。 


もくじに戻る


15. 編集後記

編集長 根箭太郎

 本誌を手にする頃には、お花見の企画が進行している頃なのでしょうが・・・・・。実際にこれを書いている時点では、大寒波の真っ最中。出勤は完全防寒装備で、本当に寒いです!冬が苦手な私は、これを書きながら「早く発送の時期にならんかね」と呟いています。多分、来年の3月号でも同じことを書くでしょう(笑)。
 今号は特集で、スタッフが篠山や徳島、それに筑後まで出掛け、現地で暮らす当事者の方とお会いしました。その中で聞かれた、「移動手段が少ない」、「当事者自身が、もっと『地域に出よう』という気持ちを強く持ってほしい」といった言葉は、印象に残りました。都市部が、制度面で良くなったとはまだまだ言えません。それでも一定、整っている側面があるのは事実だろうと、再認識した次第です。
 昨年7月に起きた「さがみはら事件」、当センターでもこれに関連した研修に参加し、今一度『命』をテーマにした主催講座も、開催しようと思っています。
 次号は本年10月の発行となります。早いもので、2002年4月に現在の通信になってから、今年で15周年、通巻50号の区切りを迎えるに至りました。長年のご購読に感謝すると共に、これからも『CIL豊中通信』をよろしくお願い致します。

もくじに戻る



広報誌「CIL豊中通信」に戻る         トップページに戻る