障害者自立支援法を考える大阪のつどいWが行われました



2006年3月21日(火)、堺市泉ヶ丘のビッグアイにて、『障害者自立支援法を考える大阪のつどいW』が開催されました。
昨年4月14日の大阪城公園での集い、7月31日の中央公会堂での集い、10月18日の御堂筋大パレードに続いて、通算4度目の集いでした。
今回は、場所がやや遠くて大阪市以北の人は移動にも時間がかかりましたが、それでも1,600人超の人が集まり、中には愛知県からの参加者もいました。

初めに障大連の楠敏雄さんから基調講演があり、障害者の福祉サービスを後退させる新制度に対する怒りの思いを語っていました。
「何故、『改革のグランドデザイン案』なるものを国は出してきたのか?それはサービス利用を抑制させるためであることは明らかだ。」と、いつもの穏やかな口調ながらも、時折語気を強めていました。


『自立支援法で私たちの暮らしはどう変わるのか?』と書かれた横断幕と、基調講演をする楠敏雄さん。
ギッシリと詰まった会場全景。これ以外に通路席や別室も設けられていました。


その後はシンポジウムとなり、今回は、厚生労働省改革推進室から議員がシンポジストとなり、参加者の注目を集めていました。
議員は横幕章人さんという方でしたが、話の内容は、

・「自立支援法は、使えば使うほど負担が軽くなるように出来ている。」
・「国では、障害者施策のための予算は、削るどころか特別枠で拡大して組んできている。一部に当事者の方との間で見解の相違があるようだ。」
・「これからのグループホームは、地域をブロック別に分けた上で地域で支えるようにしたい。」
・「グループホームでホームヘルプサービスを使うと、一つの場所で二重にサービスが発生することになり、何かあった時、責任分担上不透明な部分が生じるかも知れないため、使えないようにした。」
・「自立支援法は、介護保険制度のコピーのようにも言われ、応益負担が問題視されているが、各種の減免措置は、オリジナルなものである。」
・「これでも気持ちの中では、みなさまと同じ方向を向いているつもりでおります。」

というもので、およそ参加した当事者の反感を買うものでした。

一方、当事者側としてシンポジストになっていたのは、障大連の古田さんと、きょうされん大阪の河野直明さんです。
この中で古田さんは、先に行われた地方公聴会で、大阪の地域でのガイドヘルプ利用時間が、最少の秋田県の6.3倍であることについて、長年の施設から地域への取組に視線を送らず、いかにも大阪だけ贅沢にサービスを使っているかのように宣伝された事への抗議の意を語っていました。そして、「地域間の格差是正をするのはいいとしても、低い方に是正してどうするのか?高い方に是正しなければならない。」「グループホームでは、一人の世話人が30人も40人も入居者のサポートをしなければならなくなったり、予算配分が入所施設に横へ習えで結果的に大きく削減される。これではグループホームの運営をやめる団体も出てくる。」と主張していました。

河野さんからは、「事業者に対して、自己負担金の徴収の義務まで負わせるのはいかがなものか?利用者と事業所の信頼関係に影を落としかねないし、事業者としてもあまりにも辛い役割だ。」「障害が重い人ほど負担も重くなる。」という訴えがなされました。

厚生労働省改革推進室の、
横幕章人さん
横幕さん(左)と、きょうされん大阪の河野直明さん、
障大連の古田朋也さんの各シンポジスト。


この後、参加していた各団体からのPRが行われ、特に精神の当事者からは、
「横幕さんの話は、全部言い訳にしか聞こえない。障害程度区分の合理性に関して、精神障害者は日々体調の波が大きく、調査を受ける時は調子の良い時でも(調子の良い時しか調査を受けられない)、調子が悪ければ全面にわたって支援が必要になるときもある。
そのような人にとって、この区分調査のやり方のどこが合理的でどう良いと言えるのか、具体的かつ客観的に説明してもらいたい。」と厳しい視線で訴え、会場から歓声が沸き起こっていました。
その他、「施設の中にグループホームを作っても地域では暮らせない。」、「本当に5年間で3倍もグループホームを増やせるのか?」「各種手続きに関する情報が、当事者に十分に行き届いているのか?」、聾者からは「コミュニケーション支援を市町村だけにするな」という超えが次々に起こりました。


一言PRのために壇上に上がった各団体の人達。車いすにゼッケンを着けていた参加者もいました(右)。
垂れ幕も下がっていました。 閉会も近くなった頃。熱気はピークに達します。


最後に古田さんが、
「横幕さんは、自立支援法が、使えば使うだけ負担が軽くなると言っているが、それは区分6の人に限り、しかも区分6の人はほんの一握りである。また、負担が軽くなると言っても、そんなに大きくではない。それ以外の人のサービスは切り詰められるのが現状。またグループホームへの予算が高めになるような事も言っていたが、これも月1万円程度だし、一人の世話人が数十人を見るというようでは、グループホームでの自立生活は成り立たなくなる。変にいいとこばかりPRしないで欲しい。現実をきちんと見るように。」
と、ガツンと訴えていました。

これに対して横幕さんは、「えー、大変厳しいご意見をいただきまして・・・・・」と、歯切れ悪く述べていましたが、いよいよあと数日で応益負担も始まります。
この先どうなるのか、当事者の不安もピークに達してくると思います。



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